高マグネシウム摂取は中年アメリカ人の糖尿病発症リスクを減らす

公開日:2015-07-17

高マグネシウム摂取は中年アメリカ人の糖尿病発症リスクを減らす



2014年に米国のタフツ大学Jean Mayer USDA Human Nutrition Research Center on Aging、ハーバード医科大学Massachusetts General Hospital (MGH)、国立心肺血液研究所の研究者らが、“高マグネシウム摂取は中年アメリカ人の耐糖能異常やインスリン代謝、前糖尿病から糖尿病への進行リスクを低減”について報告をしたので、その論文概要を紹介します。



目的



マグネシウム摂取量が前糖尿病やインスリン抵抗性などに与える影響やその後の2型糖尿病発症への進行について7年間の関連を評価することを目的としました。



デザインおよび方法



対象は試験参加時26~81歳の地域住民2582人(平均年齢54歳、女性55%、体重過多42%、肥満21%)で、マグネシウム摂取量と代謝障害の発生リスクとの関連を調べました。代謝障害とは、空腹時血糖値(FG)異常(≥5.6 to <7.0 mmol/L(≥100–<126 mg/dL))、耐糖能異常(ブドウ糖負荷2時間値 ≥7.8 to <11.1 mmol/L(≥140–<200 mg/dL))、インスリン抵抗性(IR)または高インスリン血症(インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)か空腹時インスリン値がそれぞれ90thパーセンタイル以上)です。



糖尿病発症歴のない参加者において、ブドウ糖負荷、インスリン、インスリン抵抗性(IR)、インスリン感受性について7年間の変化に関するマグネシウム摂取量を調べました。



結果



年齢、性別、エネルギー摂取量の調整後、マグネシウム摂取量(中央値mg/日)をエネルギー調整して5分位(Q1 235 mg、Q2 272 mg、Q3 298 mg、Q4 332 mg、Q5 395 mg)に分けて検討しました。最高マグネシウム摂取群(395 mg/日)は最低摂取群(235 mg/日)と比較して代謝障害に至るリスクが37%低下(P = 0.02)し、試験開始時に代謝障害を有する糖尿病発症リスクは高マグネシウム摂取群で32%低下(P = 0.05)と関連していました。全体での糖尿病発症リスクは最高マグネシウム摂取群が最低摂取群の53%(P = 0.0004)でした。



リスク要因と食物繊維の調整をしても、試験開始時の正常集団は代謝障害の関連性が弱く有意な影響を認めませんでした。



より高いマグネシウム摂取量は、空腹時インスリン、ブドウ糖負荷値、インスリン感受性ではなく空腹時血糖(FG)とインスリン抵抗性(IR)のフォローアップを低減させる関連性の傾向がみられました。



結論



マグネシウムの高摂取は、高リスクで糖尿病を発症するリスクを相殺するのに特に有益である可能性が有りますが、さらなる研究が必要です。



参考資料:



Hruby A, O’Donnell CJ, Jacques PF, Meigs JB, McKeown NM. Higher magnesium intake reduces risk of impaired glucose and insulin metabolism, and progression from pre-diabetes to diabetes in middle-aged Americans. Diabetes Care 37:419-427, 2014. PMCID: PMC3898748



http://care.diabetesjournals.org/content/early/2013...



コメント



この研究者らによるコホート疫学調査による食事性マグネシウム摂取量と糖尿病発症リスクとの関係を示した報告に意義があります。



マグネシウムの摂取不足が生活習慣病、特に、2型糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病の発症と密接に関わっていることが基礎的・疫学的・臨床的研究でも明らかにされています。今後マグネシウム摂取の重要性がさらに認知され、正しい食育が行われる事が切に望まれます。



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なお、糖尿病やメタボリックシンドロームなどとマグネシウム摂取不足との関係は、横田邦信著の『マグネシウム健康読本』(現代書林)、『糖尿病ならすぐにこれを食べなさい』(主婦の友社)にも詳しく書かれていますのでご参考にして下さい。



マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。


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