食事性マグネシウム摂取は食事試験参加者のメタボリックシンドロームで非糖尿病のインスリン抵抗性を改善

公開日：2015-05-01

食事性マグネシウム摂取は食事試験参加者のメタボリックシンドロームで非糖尿病のインスリン抵抗性を改善

2013年中国揚州大学医学部、米国マサチューセッツ大学医学部の研究者らが、“食事性マグネシウム摂取が食事試験参加者のメタボリックシンドロームで非糖尿病のインスリン抵抗性を改善”について報告をしたので、その論文概要を紹介します。

背景

多くの横断的研究では、食事性マグネシウムとインスリン抵抗性との間に逆相関が示されています。しかし、縦断的研究では、食物を介した推奨量（RDA）を満たすマグネシウム摂取とメタボリックシンドロームの間でインスリン抵抗性に及ぼす影響はほとんど調べられていません。

方法

メタボリックシンドローム234人の食事介入試験について検討しました。

マグネシウム摂取量は、24時間の食事リコールを使って試験開始時、6ヵ月および12ヶ月で評価しました。空腹時血糖値およびインスリン濃度は各時点で集めました。インスリン抵抗性は、インスリン抵抗性指数（HOMA-IR）により推定しました。

マグネシウム摂取量とインスリン抵抗性指数（HOMA-IR）の関係は、共変量を調整した線形混合モデルを用いて評価しました。

結果

試験開始時のマグネシウム摂取量は287±93 mg/日でした（平均±標準偏差）、そしてインスリン抵抗性指数、空腹時血糖値、空腹時インスリン濃度はそれぞれ3.7±3.5、99±13 mg/dL、15±13 μU/mLでした。試験開始、6ヶ月、12ヶ月に23.5％、30.4％、27.7％がマグネシウムの推奨量を満たしていました。

多変量調整後、マグネシウム摂取量はインスリン抵抗性の代謝バイオマーカーと逆相関していました（P < 0.01）。さらに、時間の経過とともに上昇したインスリン抵抗性指数（>3.6）の尤度（ゆうど）は、マグネシウム摂取量の最低四分位（測定値の下位25％）に比べて最高四分位（測定値の上位25％）の参加者で71％低下[オッズ比（OR）：0.29； 95％信頼区間（CI）： 0.12、0.72]しました。マグネシウム推奨量を満たす個人で、時間の経過とともに高いインスリン抵抗性指数の多変量調整オッズ比は0.37（63％低下、95％ CI: 0.18、0.77）でした。

結論

食事性マグネシウムの摂取量がメタボリックシンドロームで非糖尿病者の間で不十分であることを示し、推奨量を満たすべく食事性マグネシウムの増加がインスリン抵抗性に対して保護効果を有することを示唆します。

参考資料：

Wang J, Persuitte G, Olendzki BC, Wedick NM, Zhang Z, Merriam PA, Fang H, Carmody J, Olendzki GF, Ma Y. Dietary magnesium intake improves insulin resistance among non-diabetic individuals with metabolic syndrome participating in a dietary trial. Nutrients 5:3910-9, 2013

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3820051/

【コメント】

この研究者らによる食事性マグネシウム摂取量とインスリン抵抗性改善との関係を示した報告に意義があります。

インスリン抵抗性に関し、これまで種々の研究論文を紹介しておりますのでご参考にして下さい。

2007.08.20　メタボリックシンドロームの予防　－その１－

2007.08.21　メタボリックシンドロームの予防　－その２－

2008.11.20 マグネシウム健康読本

2009.12.29　生活習慣病に対するミネラル栄養の重要性　Mg（マグネシウム）

2010.08.05 日本人男性マグネシウム摂取が大腸がん予防

2010.09.14　マグネシウム摂取量と全身性炎症、インスリン抵抗性と糖尿病発症との関連

2010.12.21　マグネシウム摂取量と全身性炎症、インスリン抵抗性と糖尿病発症との関連

2012.02.21　特集：マグネシウムと生活習慣病　日本人の食生活はマグネシウム不足