公開日:2008-06-03
『第51回日本糖尿病学会』で横田先生が発表
2008年5月22日(木)~24日(土)、第51回 日本糖尿病学会 が東京国際フォーラムにて開催されました。
東京慈恵会医科大学准教授 横田邦信先生は2008年5月24日、同学会で『慢性的食事性マグネシウム(Mg)摂取不足がメタボリックシンドロ-ム(MS)の発症と密接に関与する』を発表されましたのでお知らせいたします。
発表内容は、以下の抄録にまとめましたので、ご参考にしてください。
慢性的食事性マグネシウム(Mg)摂取不足がメタボリックシンドロ-ム(MS)の発症と密接に関与する
【目的】
Mg不足がインスリン抵抗性(IR)発現や2型糖尿病(DM)発症と密接に関連する事が近年報告 されている。そこでMg代謝の観点よりMS発症要因を考察した。
【方法】
自験例を含めた文献より考察。
【結果】
Mg不足はIR発現やDM発症に関わり、経口Mg補充はMSの構成因子を軽減する事からもMS発症要因のひとつである。
【考察】
Mgは必須主要ミネラルのひとつであるが、現代は食生活の半欧米化で十分なMg摂取が難しい。Mgは350種類に及ぶ酵素の活性化因子であり、また細胞内外のミネラルのバランスを調整するため天然のCa拮抗薬(N&L型)と称される(Iseri 1984)。
従って慢性的Mg摂取不足は血圧上昇と高TG血症(LPL(リポ蛋白リパーゼ)とLCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)活性低下)の原因となる。
肥満では脂肪細胞からのアディポサイトカイン異常分泌がインスリン受容体の自己リン酸化反応障害を起こしIRを惹起する。
また、Mg不足も受容体のリン酸化反応障害(TK活性低下)を介しIRを惹起し(Hubbard:1997)、耐糖能異常/DMを発症する。その結果、Mg不足はMSの構成因子を揃わせることになるが、これらを裏付ける報告が多数散見される。即ち食事性Mg低摂取群からのDM発症が有意に高い(Lopez-Ridaura: 2004)。食事性Mg摂取量と血中インスリン(IRI)値が逆相関し、Mg摂取量が多いとDM発症リスクが低下する(Song:2004)。肥満小児のIRは食事性Mg摂取不足が関与する(Huerta:2004)。また、Mg補充は自然発症DMモデルラットの発症を遅延させる(Balon :1995)。低Mg血症かつIR症例へのMg補充がIRを改善するGuerrero-Romero:2002)。無作為二重盲検でMg補充はIRと血糖を改善する(Roudriguez-Moran:2003)。自験例ではHOMA指数の低下および降圧(p<0.05)と脂質(TG)の低下を確認した(Yokota:2004)等である。
一方、MS群では低Mg血症が高頻度に見られ、また低Mg血症とMSは他の因子とは独立した関係がある。さらに脂質異常症、高血圧と低Mg血症とは強い関係がある(Guerrero-Romero: 2002)。中高年女性のMg 摂取量はCRP濃度やMSの有病率と負の相関がある(Song :2005)。若者対象の追跡調査ではMg摂取量が最少の群に比べ、最多群がMSになるリスクは31%と有意に低い(He K:2006)等の報告がある。
【総括】
メタボリックシンドロームの発症要因のひとつに慢性的食事性Mg摂取不足の関与が強く認められる。
日本糖尿病学会については、以下をご参考にしてください。
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横田先生が発表された資料の一部を掲載いたします。