米国における準最適マグネシウムの栄養状況:健康状態が過小評価されている?

公開日:2012-11-27

米国における準最適マグネシウムの栄養状況:健康状態が過小評価されている?



2012年、米国・Center for Magnesium Education & Research、Purdue University、University of Southern California Los Angelesの研究者らは、米国におけるマグネシウム(Mg)の栄養状況に関する総説を出したので、その要旨を以下に紹介します。



カルシウム(Ca)と比較し、Mgはそれほど研究されていない“オーファン的栄養素(Orphan nutrient)”です。



低Mg摂取および血中の低Mg濃度は、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、C反応性蛋白(CRP)の上昇、高血圧、動脈硬化症、心疾患突然死、骨粗鬆症、片頭痛、喘息、大腸がんと関連しています。



食物から摂るMgの必要量を満たしていない米国人口の割合は、2001~2002年には56%から低下していますが、2005~2006年にはほぼ半数(48%)を占めています。



30年以上の調査によると、サプリメントからの摂取を除くと、米国の成人と高齢者における食物からのMgよりCaを重視したCa/Mg摂取比率は上昇を示しています。



米国における2型糖尿病の有病率と発症率は、食物からのCa/Mg摂取比率が3.0未満から3.0以上に上昇した1994年から2001年にかけて急激に増加しています。



出納試験によって定められた食事摂取基準では、仮に被験者が慢性の潜在的なMg不足であっても健康であると見なされるといった、誤解を招く可能性があります。



TRPM6/7 チャネルに関連した細胞内Mg不足は、障害や病原体に依存しないCa活性化炎症カスケードを誘発します。



Mg必要量の再検討、低Mg状態の理解、Ca/Mg比率の上昇は2型糖尿病、メタボリックシンドローム、骨粗鬆症、および他の炎症に関連した種々の疾患の発症率に影響することから、優先的にすべき研究課題です。



参考文献:



Rosanoff A, Weaver CM, Rude RK. Suboptimal magnesium status in the United States: are the health consequences underestimated? Nutrition Reviews 70:153–164, 2012



doi: 10.1111/j.1753-4887.2011.00465.x



http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1753-4887...



コメント



この総説の研究者Dr. Rosanoffは、故Dr. Seeligと長年の共同研究者でもあり、多数の研究論文を発表され、専門書を執筆され、マグネシウムの研究と啓発に多大な貢献をされてきています。



この総説では、米国におけるマグネシウムの栄養状況について纏められ、食物からMg摂取の必要量を満たしていない米国人口はほぼ半数(48%)を占めている問題、30年以上の長期調査で食物からのCa/Mg摂取比率が上昇している問題、これらに伴う2型糖尿病の有病率と発症率の急激な増加などについて述べられています。



Dr. Rosanoffのマグネシウム啓発サイトは、以下で検索できますので、参考にしてください。



http://www.centerformaged.org/ 



当ホームページでは、以下のサイトでCa/Mg摂取比関係について掲載していますので、参考にしてください。



2007.08.23  女性及び小児とメタボリックシンドロームについて マグネシウムとカルシウム・・・



マグネシウムとカルシウム摂取量の割合が重要ですか?



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