公開日:2010-07-08
コーヒー紅茶の摂取で糖尿病リスク低減
2009年、オーストラリア・シドニー大学ジョージ国際保健研究所の研究者らは「コーヒー、カフェイン抜きコーヒー、紅茶の摂取で糖尿病リスク低減」に関し、過去に発表された論文を解析し、コーヒーまたは紅茶を多く飲む人ほど糖尿病の発症リスクは低いと報告しました。
【背景】
コーヒーの摂取は、2型糖尿病リスクと逆に関係していることが報告されています。同様の関係は、カフェイン抜きコーヒーと紅茶も報告されています。糖尿病リスクとコーヒー、カフェイン抜きコーヒーまたは紅茶摂取との関係をメタ解析(過去に発表された論文を解析)した調査結果をここに報告します。
【方法】
関連した研究論文はPubMedの検索で確認しました。1966~2009年7月に報告された前向き研究のなかから糖尿病発症リスクとコーヒー、カフェイン抜きコーヒーまたは紅茶との関係を検討しました。
【結果】
コーヒー摂取と糖尿病の関係は18研究45万7922例のデータについての報告でした。糖尿病とカフェイン抜きコーヒー摂取の関係は6研究(22万5516例)、紅茶摂取は7研究(28万6701例)それぞれの報告でした。
1日のコーヒー摂取量が1杯増えるごとに糖尿病リスクは7%減少(相対リスク0.93[95%の信頼区間、0.91-0.95])することが判明しました。また、1日に0~2杯の飲用に比べ、1日に3~4杯の飲用は糖尿病リスクがおよそ25%減少(相対リスク 0.76 [95% CI, 0.69-0.82])しました。
カフェイン抜きコーヒー摂取は全く飲まなかった者に比べ、1日に3~4杯以上飲んだ者では糖尿病リスクがおよそ1/3低かった(相対リスク 0.64 [95% CI, 0.54-0.77])。
紅茶は全く飲まなかった者に比べ、1日に3~4杯以上飲んだ者の糖尿病リスクがおよそ1/5低かった(相対リスク 0.82 [95% CI, 0.73-0.94])。
【結論】
小規模研究バイアスが存在するため、この結果は正確な関係の過大評価を意味するかもしれません。
同様に有意で逆の関係は、カフェイン抜きコーヒーと紅茶と糖尿病リスクでも観察されました。コーヒー、カフェイン抜きコーヒーと紅茶の高い摂取量は、糖尿病リスクの減少と関係しています。
これら飲料の保護効果は、ランダム化された更なる調査が必要です。
参考資料:
Huxley R, Lee CMY, Barzi F, Timmermeister L, Czernichow S, Perkovic V, Grobbee DE, Batty D, Woodward M. Coffee, decaffeinated coffee, and tea consumption in relation to incident type 2 diabetes mellitus. Arch Intern Med 169:2053-2063, 2009
【コメント】
この論文は、過去に発表された計31の研究を解析し、コーヒーまたは紅茶を多く飲む人ほど糖尿病の発症リスクは低いという結果でした。
また、この論文の本文では、マグネシウムや抗酸化物質が関与の可能性についても言及しています。特に、コーヒーや紅茶に含まれるマグネシウムやリグナンおよびクロロゲン酸として知られる抗酸化化合物が関係している可能性があると考察しています。研究者らは、コーヒーや紅茶の活性成分を特定することにより、糖尿病の1次予防の為の新たな治療への道が開けるかも知れないと注目しています。
五訂増補日本食品標準成分表(平成17年1月24日 文部科学省 科学技術・学術審議会・資源調査分科会 報告書)には、お茶類、コーヒー、ココアなどのマグネシウム含有量が掲載されていますが、それぞれの種類によりマグネシウム量が違います。
可食部100 g当たり
マグネシウム(mg)
● お茶類
⇒ 玉露茶 210
⇒ 抹茶 230
⇒ せん茶 200
⇒ 紅茶 220
● コーヒー
⇒ 浸出液1) 6
⇒ インスタントコーヒー2) 410
⇒ コーヒー飲料3) 6
● ココア 440
注意:
1) 「コーヒー」の「浸出液」の成分値は、ドリップ式で10gの中びきレギュラーコーヒーを150mlの熱湯で浸出したものの分析値、四訂成分表成分値及び資料3)に基づき決定した。
2) 「インスタントコーヒー」の成分値は、市販品を試料とし、分析値、四訂成分表成分値及び資料3)に基づき決定した。
3) 「コーヒー飲料」の成分値は、缶入りコーヒー飲料を試料とし、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。
MAG21研究会では、コーヒー、お茶類にはマグネシウムが多く含まれていることも既にお知らせしていますので、ご参考にしてください。
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