公開日:2009-03-13
糖尿病と合併症 -生活習慣との関わり-
平成21年(2009年)2月1日、第7回糖尿病市民セミナー・東京 基調テーマ『糖尿病の世紀を生き抜く!』が有楽町・よみうりホールにて開催され、《第2部 糖尿病になりやすいとしたら? -氏か育ちか自分自身か-》で大阪大学大学院 公衆衛生学 教授 磯 博康先生が「糖尿病と合併症 -生活習慣との関わり-」についてご講演されました。
磯先生は公衆衛生学がご専門で、日本人を対象とした大規模臨床研究結果を基にご講演されました。講演内容は、糖尿病やその合併症である循環器疾患の発症に関わる生活習慣とはどのようなものがあるか、身体活動・運動の不足とエネルギー摂取過剰、喫煙、飲酒、マグネシウム・カルシウム・ビタミンDの摂取不足、ストレスの関与などの問題について、解り易くお話されました。
以下の内容について話されましたが、特にマグネシウムについては追記いたします。
1 身体活動・運動の不足
2 エネルギーの過剰摂取
3 喫煙
4 緑茶やコーヒー
5 マグネシウムの摂取不足
マグネシウムの摂取不足は、糖尿病の発症リスクを増加させます。すい臓からのインスリン分泌を低下させたり、細胞のインスリンレセプターの機能を低下させて(インスリン抵抗性を増加させて)糖尿病を引き起こします。
痩せている人で糖尿病にかかる人の一部はマグネシウムの摂取不足によるものと考えられます。
マグネシウムは、肉、乳・乳製品以外の食品(穀類、大豆等の豆類、魚介類、野菜、海藻等)に豊富に含まれています。
6 カルシウムやビタミンDの摂取不足
7 飲酒
8 ストレス
9 食塩(ナトリウム)の過剰摂取
10 野菜・果物(カリウム)の摂取不足
11 魚の摂取不足
12 肉の脂等の動物性脂肪の過剰摂取
糖尿病やその合併症予防のための生活習慣とは?
1 毎日の生活の中で20-30分速歩で歩く。
階段を利用する。筋肉トレーニングや運動を加える。
2 腹七分目に。早食いをせずに良く噛んで、夜遅くの
食事、間食を避ける。
3 緑茶あるいはコーヒーを飲む。
4 バランスの良い食事をして、マグネシウムを十分に摂る。
5 牛乳、乳製品を毎日摂る。
6 アルコールは日本酒換算で1日1合まで。
7 タバコは吸わない。
8 ストレスをためない。
9 食塩を控える。
10 野菜を毎日(3回)、果物を毎日摂る。
11 魚を2日に1回以上、肉より魚を多く摂る。
参考資料:
磯 博康: 糖尿病と合併症 -生活習慣との関わり- 第7回糖尿病市民セミナー・東京 基調テーマ『糖尿病の世紀を生き抜く!』 配布資料PP.16-17、平成21年(2008年)2月1日
詳しくは、以下のホームページをご訪問されることをお勧め致します。
(社)日本糖尿病協会 東京都支部(東京都糖尿病協会)
http://www.dm-net.co.jp/tokyo-tounyou/2008/12/22/7/#more
日本生活習慣病予防協会
http://mhlab.jp/calendar/seikatsusyukanbyo_ 01/2009/02/003311.php
【MAG21研究会コメント】
慢性的なマグネシウム摂取不足が2型糖尿病の発症リスクを高めることは、特に、21世紀以降欧米の論文**等で臨床疫学的に証明されていますが、わが国における疫学成績がこれまで無く、そのデータが期待されていました。MAG21研究会の横田は、わが国では非肥満の糖尿病患者が多いことのひとつの原因として、戦後の食生活の“半欧米化”に伴う慢性的マグネシウム摂取不足が関わる、いわゆる“Mg仮説”を提唱し続けて来ましたが、この仮説が今回の成績でさらに強く支持されることになったと言えます。マグネシウム補充にインスリン抵抗性改善作用、中性脂肪低下、降圧効果があることは既にいくつかの論文
Yokota K, et al., J Am Coll Nutr 23:506S-509S, 2004、
Guerrero-Romero F, Rodríguez-Morán M. Acta Diabetol 39:209–213, 2002、
2008.01.23 WHO報告書 『飲料水中の栄養素』-その2-、
2008.01.22 WHO報告書 『飲料水中の栄養素』-その1-、
2007.08.20 メタボリックシンドロームの予防 -その1-、
などで報告されています。今後は、マグネシウムの補充により糖尿病発症リスクが抑制されればこの“Mg仮説”が立証されたことになります。
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