健常ヒト被検者の食後血清脂質反応に対するマグネシウムの影響

公開日:2010-02-24

健常ヒト被検者の食後血清脂質反応に対するマグネシウムの影響

2010年、お茶の水女子大学、防衛医科大学、東京慈恵会医科大学などの研究者らは、「健常ヒト被検者の食後血清脂質反応に対するマグネシウムの影響」についての研究結果をBritish Journal of Nutritionに報告しました。

文献の内容を以下にまとめました。

食後の高脂血症は、動脈硬化症発症の危険因子であると認められています。疫学的な研究と動物実験では、マグネシウムの摂取量が脂質代謝を含む動脈硬化症のリスクと負の相関を示しています。

この研究は、マグネシウムサプリメントの食後の血清脂質濃度(反応)に対する効果を見るために実施されました。

研究では、マグネシウムサプリメントとしてにがり

(注:MAG21)、海由来の塩水湖水の天然塩化マグネシウム(MgCl2)溶液を使いました。ランダム化したクロスオーバー研究で16人の健常男性のボランティアを対象に、5mlのMAG21(500mgのマグネシウム含有)を含む群と含まない群に分けて30gのバターを摂取させました。空腹時と食後の血液サンプルは、摂取の2、3、4と6時間後に行いました。食後脂質反応は、血清TAG、カイロミクロンTAG、アポB48、レムナント様粒子コレステロール(RLP-C)とNEFA濃度によって評価しました。

結果は、血清と脂肪負荷後のカイロミクロン TAG反応がマグネシウムサプリメントによって減少遅延しました。アポB48(P<0•05)、RLP-C(P<0•05)、そして、NEFA(P<0•05)の濃度は、脂肪のみの食事と比較してマグネシウムによる脂肪摂取後2時間で有意に低下しました。

この研究は、健常ヒト被験者においてマグネシウムサプリメントが脂肪吸収を抑制することで食後高脂血症を改善することを示唆しています。

参考資料:

Kishimoto Y, Tani M, Uto-Kondo H, Saita E, Iizuka M, Sone H, Yokota K, Kondo K. Effects of magnesium on postprandial serum lipid responses in healthy human subjects. British Journal of Nutrition 103(4):469-72, 2010 Feb; Epub 2009 Nov 27.

【MAG21研究会コメント】

今回の研究論文は、マグネシウムが食後の高脂血症を抑制することを確認したもので、以前ニガリがダイエットに効くと言われたことを科学的に説明することがこれで可能になります。

また、Prof Ka HeがCirculatioon2006年に報告した論文では、マグネシウムをしっかり摂っているヒトはメタボのリスクが31%減ることを示しましたが、その疫学的結果も今回の研究結果で十分説明が可能と言えます。

当ホームページでは、これら研究者らの文献についても解説して来ました。

2007.08.21 メタボリックシンドロームの予防 -その2-

2007.10.19 マグネシウムの食後高脂血症に及ぼす影響

2008.12.26 肥満小学生はメタボ予備軍=女性はリスク10倍

2009.01.19 マグネシウムの脂肪細胞分化に及ぼす影響

この研究の共同研究者の一人はMAG21研究会のメンバーの東京慈恵会医科大学 准教授 横田邦信先生です。

この研究で使用した素材は、“MAG21”という天然高濃縮マグネシウム液です。横田邦信先生の臨床研究でも同じ素材を用いました。

“MAG21”は西オーストラリア・デボラ湖産のマグネシウム含有量が極めて豊富、カリウムが比較的多く、更にナトリウムとカルシウムが極めて少ない天然高濃縮マグネシウム(100ml当りマグネシウム10300mg、カリウム633mg、ナトリウム584mg、カルシウム4.6mg)です。なお、研究論文は、以下の論文に報告しています。

Yokota K, Kato M, Lister F, et al., Clinical Efficacy of Magnesium Supplementation in Patients with Type 2 Diabetes. J Am Coll Nutr 23:506S-509S, 2004

http://www.jacn.org/cgi/reprint/23/5/506S.pdf

この記事に対するご意見やご質問を心からお待ちしております。

検索


新着記事