公開日:2017-05-19
2013年、米国ハーバード大学公衆衛生学部、Brigham and Women’s Hospitalとハーバード大学医学部の研究者らが、“血中および食事性マグネシウムと心血管疾患リスク: 前向き研究のシステマティック・レビューおよびメタ解析”について報告をしたので、その論文概要を紹介します。
血中および食事性マグネシウムは、心血管疾患(CVD)リスクと逆相関し、心血管疾患(CVD)および虚血性心疾患(IHD)の予防におけるマグネシウムの潜在的役割を評価するための臨床試験が必要と言えます。
Del Gobbo LC, Imamura F, Wu JH, de Oliveira Otto MC, Chiuve SE, Mozaffarian D. Circulating and dietary magnesium and risk of cardiovascular disease: a systematic review and meta-analysis of prospective studies. Am J Clin Nutr. 98:160-173, 2013. doi: 10.3945/ajcn.112.053132.
http://ajcn.nutrition.org/content/98/1/160.long
この研究は、血中および食事性マグネシウムと心血管疾患(CVD)、虚血性心疾患(IHD)、致死性虚血性心疾患(IHD)の発症率との関連を調査するため2012年5月までに報告された文献2303件のうち、16件の研究を解析し、血中マグネシウム濃度が0.2 mmol/L(0.48 mg/dL)増加する毎に心血管疾患(CVD)リスクが30%低下、虚血性心疾患(IHD)リスクが17%低下、致死性虚血性心疾患(IHD)リスクが39%低下と確認されました。
さらに、食事性マグネシウム摂取量が200 mg/日 増量する毎に心血管疾患(CVD)と有意な差異とはならなかったものの、虚血性心疾患(IHD)リスクの22%低下と関連し、食事性マグネシウム摂取量と致死性虚血性心疾患(IHD)リスクの27%低下と関連しているというエビデンスを示されたことに意義があります。
当ホームページでは、以下のサイトで今までにマグネシウムと心血管疾患などとの密接な関連性についても解説してきました。
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2007.08.23 マグネシウムとカルシウム摂取量の割合が重要ですか?
マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。