公開日:2010-06-17
妊娠と薬情報に便秘薬酸化マグネシウム
2010年4月28日、厚生労働省医薬食品局は「医薬品・医療機器等安全性情報No.268」を発行し、妊娠と薬情報センター事業についての情報提供を行いました。
この安全性情報No.268によると「2.妊娠と薬情報センター事業について」が紹介され、平成17年10月から国立成育医療研究センター(旧国立成育医療センター)に「妊娠と薬情報センター(ホームページ:http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html)」を設置し、薬が胎児へ与える影響など最新のエビデンスを収集・評価するとともに、その情報に基づいて、これから妊娠を希望している人や妊婦の方の相談に応じる事業を実施しています。
現在の状況として、平成19年12月より、厚生労働省事業 妊娠と薬情報センターのホームページに「ママのためのお薬情報:http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/ok.html」として、「授乳とお薬」のコーナーを設け、その中で「授乳中に使用しても問題ないとされる薬の代表例」が掲載されています。また、「授乳中に使用しても問題ないとされる薬の代表例 一覧」2007.12も当サイトhttp://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/images/medicin_ok.pdfで公開されています。
この代表例には、薬剤178種類が「代表的な商品名」、「成分名」と「分類」に分けられています。このうち、分類が「胃炎・胃潰瘍治療薬・鎮痙薬、制吐薬、緩下薬、下痢止め」とされているのは、以下9種類です。
この9種類の中には、マグネシウムとしては硫酸マグネシウムのみが掲載され、制酸・緩下薬(便秘薬)としての酸化マグネシウムがリストに含まれていないことが判明しました。そこで、酸化マグネシウムがここに掲載されない問題点と矛盾を付記します。
● 妊娠と薬情報センター「ママのためのお薬情報」に「妊娠中・授乳中のお薬Q&A」サイトhttp://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/qa.html があり、以下の質問と回答をしています。
Q: 妊娠すると便秘がちになるのですが、大黄などの生薬なら安心して使用できますか?
A: 生薬、ハーブだから安心ということはできません。
妊娠中の便秘に対しても、酸化マグネシウム、センナ、センノシド、ピコスルファートなどの下剤を使用することがありますので、医師にご相談ください。
● 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のホームページでは、「一般の皆様向け」として、「おくすりQ&A」にて薬に関する情報を提供しています。その中で、「授乳とくすり」サイト http://www.info.pmda.go.jp/medsqa/jyunyu_q3.html があり、以下の質問、回答、解説をしています。
Q3 授乳中です。赤ちゃんに影響の少ない市販の便秘薬はありますか?
A3 赤ちゃんへの影響はないと考えられているくすりもあります。薬局で便秘薬を買う時には、薬剤師に授乳中であることを伝えて相談してください。
解 説
便秘薬は、大まかに、(1)腸の粘膜を刺激して腸の動きを活発にするものと、(2)便に水を含ませ便を軟らかくするものに分類されます。
(1) に分類される便秘薬のうちピコスルファートナトリウムやビサコジルは母乳中へはほとんど移行しないので乳児への影響はないとされています。しかし、例えば、センノサイド、センナ、ダイオウ、カサンスラノールなどは母乳中に移行して乳児に下痢を起こすことがあるとされています。これらを服用する場合は、授乳しないでください。
(2) に分類される酸化マグネシウム、グリセリンなどは、水分を腸管内に移行させて便のかさをふやし、軟らかさを保ちます。通常は体内にほとんど吸収されないので乳児への影響はほとんどないと考えられます。
まず問題ないとされるくすりでも、赤ちゃんに軟便や下痢など普段と違った様子がないかよく観察しながら服用(使用)してください。
便秘薬の使用に加えて適度な運動と十分な水分摂取や、サツマイモ、セロリ等の繊維の多い野菜を摂るなどの食生活の工夫も併せて行うと効果的です。
くすりを服用しても便秘が長期にわたる場合は医師を受診してください。その際は、授乳中であることを医師に必ず伝えましょう。
【コメント】
以上のように、酸化マグネシウムが妊産婦にとっても安全性の高い緩下剤であるにも拘わらず、漏れている事実が大きな問題と言えます。
MAG21研究会のホームページで2008年以来、酸化マグネシウム副作用報告の問題に関し、以下のサイトにて取り上げてきました。MAG21研究会では、独自に調査した結果も公表してきました。
酸化マグネシウムは、当ホームページにも掲載していますように極めて安全で長い歴史のある便秘薬として年間延べおよそ 4500万人に使用されています。厚生労働省は今まで通り一般薬として了承し、今後も医療機関、薬局、ドラッグストア、インターネットなどで求めることが可能です。
2008.12.10 「便秘薬で副作用15件2人死亡」のニュース
2009.01.27 「便秘薬で副作用」のニュース -第2弾-
2009.03.26 日本マグネシウム学会が学会見解・要望書を厚生労働大臣に提出
2009.05.18 厚労省 酸化マグネシウムのリスク区分再検討へ
2009.05.22 厚労省 酸化マグネシウムの区分、新手順で再審議へ
2009.06.10 酸化マグネシウム添付文書見直しを-日本マグネシウム学会が要望書提出
2009.08.14 厚労省調査会は6日、酸化マグネシウムのリスク区分について審議
2009.10.02 8/6 厚労省安全対策調査会議事録公開
2009.11.21 11/6 厚労省安全対策部会 酸化マグネシウムのリスク区分第3類のままで了承
2010.01.12 11/6 厚労省安全対策部会 酸化マグネシウムのリスク区分配布資料
2010.03.02 11/6 厚労省安全対策部会議事録公開
マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。