公開日:2009-08-14
厚労省調査会は6日、酸化マグネシウムのリスク区分について審議
平成21(2009)年8月6日 平成21年度第2回 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 安全対策調査会が開催されました。この調査会では、主に2つの議題 1.フマル酸ケトチフェン点鼻剤のリスク区分について、2.酸化マグネシウムのリスク区分について が審議されました。
酸化マグネシウムに関する当日の配布資料と調査会での審議結果に関する日刊薬業に掲載された記事についてお知らせします。
当日配布資料 酸化マグネシウム副作用報告取扱い問題に関する日本マグネシウム学会の見解・要望書(PDF:2405KB)
資料No.2-1 酸化マグネシウムのリスク区分について(PDF:41KB)
資料No.2-2 「使用上の注意」の改訂について(平成20年9月19日薬食安発第091901号)(PDF:41KB)
資料No.2-3 医薬品・医療機器等安全性情報(平成20年11月No.252)(PDF:170KB)
資料No.2-4 「使用上の注意」の改訂について(平成21年1月9日薬食安発第0109001号)(PDF:96KB)
資料No.2-5 日本マグネシウム学会からの要望書(PDF:912KB)
資料No.2-6 パブリックコメントに寄せられたもののうち酸化マグネシウムについての意見(PDF:96KB)
資料No.2-7 パブリックコメントの結果について(PDF:60KB)
資料No.2-8 平成20年「医薬品安全性情報活用実践事例等の収集事業」報告書(抜粋)(PDF:413KB)
資料No.2-9 平成17年4月から平成20年8月までに報告された酸化マグネシウムの服用と因果関係が否定できない症例(PDF:3716KB)
【日刊薬業の記事】
平成21(2009)年8月7日発行 日刊薬業の記事「厚労省調査会 酸化マグネシウム、第3類薬のままで了承」が掲載されました。
酸化マグネシウムに関する記事の内容を以下に抜粋します。
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(座長=松本和則・獨協医科大特任教授)は6日、一般用医薬品で使用される酸化マグネシウムのリスク区分の変更について審議した結果、当面は現行の「第3類医薬品」のままとすることを了承した。ただ、委員の中には、厚労省の安全性情報に酸化マグネシウムが取り上げられたことなどを踏まえ、「第2類医薬品」に引き上げるよう求める意見もあったことから、引き続き安全性に関する情報の収集を行うこととした。審議結果は、次回開催の薬・食審医薬品等安全対策部会で報告される。
制酸・緩下剤の成分である酸化マグネシウムをめぐっては、服用との因果関係が否定できない高マグネシウム血症15例(うち死亡2例)が確認されたことを受け、リスク区分を現行の「第3類薬」から「第2類薬」に引き上げる案が浮上。しかし、日本マグネシウム学会が「第3類にとどめるべき」と主張していた。
今回の会合には、日本マグネシウム学会理事長で大阪市立大大学院の西沢良記教授などが参考人として出席。西沢参考人は、酸化マグネシウムが長年使用されて安全性が確立していることや、マグネシウムの欠乏が生活習慣病に関与することなどを主張し、薬剤師などの情報提供の努力義務がなく、消費者が購入しやすい第3類薬のままとするよう訴えた。一方、委員からは「(高マグネシウム血症のリスクがある)慢性腎不全の患者が常に医療の保護下にあるかというと怪しい。自分が健康だと思って一般薬を利用することはあり得る」として、第2類薬への引き上げを求める意見もあった。
事務局では、死亡2例が極めて特殊な病態下にある患者だったことや、すでに添付文書の使用上の注意の改訂などで医療現場や消費者に注意喚起していることを踏まえ、当面の間は第3類薬のままとすることを提案し、委員もこれを了承した。
参考資料:
日刊薬業 「厚労省調査会 酸化マグネシウム、第3類薬のままで了承」 平成21年8月7日(金) 第12811号 P2
発行: 株式会社 じほう
東京都千代田区一ツ橋2-6-3 一ツ橋ビル
【MAG21研究会コメント】
酸化マグネシウム副作用報告の問題に関しては、当ホームページで昨年末以来、以下のサイトにて取り上げてきました。MAG21研究会では、独自に調査した結果も公表してきました。
2008.12.10 「便秘薬で副作用15件2人死亡」のニュース
2009.01.27 「便秘薬で副作用」のニュース -第2弾-
2009.03.26 日本マグネシウム学会が学会見解・要望書を厚生労働大臣に提出
2009.05.18 厚労省 酸化マグネシウムのリスク区分再検討へ
2009.05.22 厚労省 酸化マグネシウムの区分、新手順で再審議へ
2009.06.10 酸化マグネシウム添付文書見直しを-日本マグネシウム学会が要望書提出
8月6日の安全対策調査会では、「酸化マグネシウムのリスク区分」について、日本マグネシウム学会から理事長 西沢良記先生、理事 菊池健次郎先生、評議員・酸化マグネシウム副作用検証ワーキンググループ実務担当責任者 横田邦信先生が出席され、それぞれ、問題の経緯、検証結果、考察・結論と見解要望を話されました。
調査会で審議された結果として、酸化マグネシウムは第3類薬のままで了承されたことは、関係者としても喜ばしいことです。
マグネシウム学会から酸化マグネシウムは昭和25年来、便秘薬・制酸剤などとして、現在では年間延べ約4500万人に幅広くかつ安全に処方されている薬剤であり、平成15年には当時の坂口厚生労働大臣が酸化マグネシウムの安全性について諮問され、食品安全委員会が、他のマグネシウム塩と同等の安全性を答申し、既に安全性が再確認された食品添加物でもあり、安全性が確立していることや、マグネシウムの慢性的な摂取不足が2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の発症に密接に関わっていることが近年明らかにされていることなども主張されて理解を得られたことも重要であったと思います。
この記事に対するご意見やご質問を心からお待ちしております。