公開日:2014-10-01
アスリートとマグネシウム
2014年10月 No.36「トライアスロン・ルミナ」がシーオス株式会社から発行され、彦井浩孝先生が監修・文の 『Magnesium for Endurance Athletes 「マグネシウム」―闘い続けるアスリートのための必須ミネラル』の記事が掲載されているのでお知らせ致します。
必須ミネラルの栄養素「マグネシウム」は、一般的に摂取不足しています。「マグネシウム」とアスリートライフの筋ケイレン、筋疲労対策からパフォーマンスアップまでの関係をトライアスロン・サイエンスの第一人者、彦井浩孝先生が多くの参考文献を引用して解説されているので、アウトラインを紹介します。
持久系アスリートライフと「マグネシウム」
日常での不足に加えレースや練習で深刻な欠乏も
ごく普通の日常生活でも不足しがちな「マグネシウム」
ここでは、当MAG21研究会のホームページに掲載している表「マグネシウムの日本人の食事摂取基準と推定摂取量の比較」 /contents/397 が引用されています。
欠乏すれば「筋ケイレン」や「骨密度低下」の原因に
「アスリートライフと「マグネシウム」をめぐるQ&A」 も掲載されています。
Q レース中の筋ケイレンとマグネシウムの関係は?
A 未解明ではあるがMgの欠乏は大きな要因のひとつ
Q トライアスリートの場合、日々、必要なマグネシウムの摂取量は?
A 一般より10~20%多く、通常の食事に加え毎日80~210mgの摂取が必要
Q マグネシウム摂取が、競技でのパフォーマンスupにつながる可能性は?
A 不足している場合はパフォーマンスupにも効果あり
Q 食事だけでマグネシウムの不足は補えない?
A バランスの良い食事が理想だがアスリートは欠乏のリスクも大
参考資料:
シーオス株式会社(英語名:SEAOS Corporation)
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-18
東急不動産恵比寿ビル7F
「トライアスロン・ルミナ」 2014年10月 No.36
http://triathlon-lumina.com/lumina/vol/vol36.html
* 図をクリックすると拡大表示します。
シーオス株式会社のMg-onウエブサイト
【コメント】
「トライアスロン・ルミナ」 2014年10月 No.36でアスリートは非常にアクティブで多量の発汗や筋疲労を伴い、筋収縮、筋ケイレン“こむら返り”、酸素摂取、エネルギー(ATP)産生、電解質バランスなどにマグネシウムが重要であることを解り易く解説されています。アスリートにとって大変貴重な情報源となります。
筋ケイレン“こむら返り”はアスリートのみならず、一般男女、特に糖尿病患者、妊娠女性にも起こり、時に激烈な痛みを伴います。なぜ筋ケイレン“こむら返り”が起こるのでしょうか?その原因は、7~8割以上はマグネシウム不足です。
そこで、筋ケイレン“こむら返り”に対するマグネシウムの作用機序について説明します。
正常時の筋肉の収縮・弛緩の仕組み
本来、筋肉はスムーズに緊張(収縮)と弛緩をくり返していますが、その働きにはカルシウム(Ca)イオンが大きく関係しています。
筋肉細胞内に筋小胞体という小器官があり、ここにCaが蓄えられています。神経の電気的刺激により筋肉を包む膜が刺激を感知すると、筋小胞体からCaイオンが流出して筋肉のたんぱく質ミオシンにあるトロポニンと結合し、アクチンが引き寄せられ、筋肉が収縮します。逆に筋小胞体のCaポンプが働き筋肉細胞内のCaイオンを取り込むと、筋肉細胞内のCa濃度が低下し、トロポニンに結合したCaも解離するため筋肉は弛緩を始めます。これを必要に応じ、瞬時に行っています。
このCaポンプの作用には、ミトコンドリアという細胞内の器官で作られるアデノシン三リン酸(ATP)によるエネルギーが必須です。ところが、筋肉を酷使すると、このATPが消費されて不足し、筋ケイレン“こむら返り”が起こります。
マグネシウム不足時
この重要なATP産生にマグネシウム(Mg)が必須であるうえに、ATPが作用する際もMgの存在が必須です。Mgが不足するとATPが不足し、Caの筋小胞体への取り込みが不十分になるため、筋肉は収縮したままで弛緩が困難になります。そのせいで、筋ケイレン“こむら返り”が起こります。
こむら返りは、体が冷えると起こるとか、脱水状態になると起こるとか、よくいわれています。
しかし、冷えも脱水も、こむら返りの引き金にすぎず、根本の原因はMg不足にあるといえるでしょう。Caは、大量に保存されている骨から自動的に補充されるので、不足することはあまり考えられません。
運動時特に発汗の多い時や急激な筋肉運動
運動時に筋肉細胞内ATPが消耗し、細胞内Caの筋小胞体への取り込みが低下し、細胞内Ca濃度が上昇して筋肉の過収縮が起こります。
更に筋肉細胞内に乳酸などの疲労物質が溜まるとATPの活性が低下し、細胞内Ca濃度が上昇して筋ケイレン“こむら返り”が起こりやすくなります。
* 図をクリックすると拡大表示します。
筋ケイレン“こむら返り”に関し、当研究会のサイトで記述して来ました。
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