大麦混合米飯の食後血糖応答

公開日:2013-12-03

大麦混合米飯の食後血糖応答



2013年、福原医院、大塚製薬、新薬リサーチセンターの研究者らは“β-グルカン高含有大麦混合米飯の食後血糖応答とそのセカンドミール効果に及ぼす影響”について報告したので、その概要を以下に紹介します。



目的



β-グルカン高含有大麦混合米飯(白米にβ-グルカン大麦50%を混合)の食後血糖応答とそのセカンドミール効果*に及ぼす影響について調査しました。



*セカンドミール効果とは、最初に摂る食事(ファーストミール)が、次に摂った食事(セカンドミール)後の血糖値に影響をおよぼすことです。



方法



空腹時血糖値が正常レベルであった20人(20歳以上50歳未満の男性9人、女性11人)の健常者をランダム化クロスオーバーデザインで実施しました。



被験者は試験食(第1食)を朝食で摂取し、血糖値、血中インスリン濃度、血清遊離脂肪酸濃度の測定に用いる血液を摂取前、摂取後30、45、60、90、120分に採取しました。その後の昼食にて標準化食(第2食)を摂取し、血糖値の測定に用いる血液を摂取前、摂取後30、60、90、120分に採取しました。



結果



β-グルカン高含有大麦混合米飯は、朝食の試験食(第1食)で血糖値とインスリン濃度および昼食の標準化食(第2食)で血糖値が白米摂取と比較して有意に低値が見られました(P<0.05)。大麦混合米飯および白米を摂取した群の血清遊離脂肪酸濃度に有意な差は認められませんでした。



結論



β-グルカン高含有大麦混合米飯は食後血糖応答とそのセカンドミール効果に影響することが示唆されました。大麦混合米飯は糖尿病のケアに有用であることが示唆されます。



参考文献:



福原育夫, 池永武, 野口洋樹, 小梯知英子, 小長井里織, 前佛佳菜子, 富田晋平, 甲田哲之: β-グルカン高含有大麦混合米飯の食後血糖応答とそのセカンドミール効果に及ぼす影響. Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 41: 789-795, 2013



【コメント】



この研究は、大麦混合米飯は白米摂取と比較し、食後血糖の上昇を抑制することから食後血糖管理に大麦の水溶性食物繊維であるβ-グルカン成分が有用であることに言及した大変有意義なものです。



しかしながら大麦にはマグネシウムも豊富に含まれ、マグネシウムによるセカンドミール効果の可能性についても十分考えられます。近年、ヒトにおいてもマグネシウム補充がインスリン抵抗性を改善し、インスリン分泌も改善する報告があることから、その効果の可能性もあると言えます。



2013.07.25  マグネシウムは膵β細胞機能を改善してインスリン感受性の変動を補正する: 二重盲検無作為化臨床試験



2013.07.09  インスリン分泌は非糖尿病者の低マグネシウム血症で減少



2013.02.01  経口マグネシウム補充は非糖尿病者のインスリン抵抗性を低減: 二重盲検プラセボ対照ランダム化試験



なお、日本人の主食であるご飯の米を参考に若干コメントします。大麦と玄米には白米よりマグネシウム含有量が多く、マグネシウムの摂取源として大麦や玄米を混ぜた白米の摂取のほうが美味しくマグネシウムを摂るには望ましいと言えます。



大麦、玄米、精白米の可食部100g当たりの栄養成分量



五訂増補日本食品標準成分表 平成17年1月24日



http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/tou...



10-141 大麦玄米精白米成分量



* 表をクリックすると拡大表示します。



当ホームページでは、以下のサイトにマグネシウムの摂取不足、マグネシウム摂取量と糖尿病など生活習慣病との問題などについても掲載していますので、参考にしてください。



2013.03.28  そばのひ孫と孫(は)優しい子かい? 納得!



2012.08.17  白米摂取と2型糖尿病リスクの関係



2012.02.21  特集:マグネシウムと生活習慣病 日本人の食生活はマグネシウム不足



2008.08.27  激動の時代とともに変わっていく糖尿病患者の病態



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