ナッツ類の摂取量と女性のすい臓がんリスク

公開日:2015-01-21

ナッツ類の摂取量と女性のすい臓がんリスク



2013年、米国Brigham and Women’s Hospital およびハーバード大学医学部、ハーバード大学公衆衛生学部、ダナ・ファーバーがん研究所(Dana-Farber Cancer Institute)の研究者らは、ナッツ類の摂取量と女性のすい臓がんリスクの関連を報告したので、その論文の概要を紹介します。



背景



ナッツ類摂取量の増加はすい臓がんのリスク因子である糖尿病のリスク減少と関連しています。



方法



Nurses’ Health Study(1976年に開始されたアメリカの看護師健康調査、登録時30~55歳121700人)で1980年から2010 年の間に75680人の女性を前向きに追跡調査し、ナッツ類(ピーナッツおよび他のナッツ)摂取量とすい臓がんリスクとの関連を検討しました。



がんの既往歴を持つ参加者は除外しました。ナッツ類摂取量はまずベースライン時に評価し、2から4年毎に更新しました。



相対リスク(RR)および95%信頼区間(95% CIs)は、Cox比例ハザードモデルを用いて推定しました。



結果



すい臓がん466症例を認めました。



年齢、身長、喫煙、身体活動および総エネルギー摂取量の調整後、1食当たり28グラム(1 オンス)のナッツ類を週2回以上摂取した女性は、主にナッツ類を摂らなかった女性と比較し、有意にすい臓がんのリスク低下(相対リスク 0.65(リスクが35%低い); 95% CI, 0.47–0.92; P = 0.007)を示しました。



結果は、体格指数(BMI)および糖尿病歴の更なる調整後も変わりませんでした(相対リスク 0.68(リスクが32%低い); 95% CI, 0.48–0.95; P = 0.01)。



逆相関関係は、体格指数(BMI)、身体活動、喫煙および赤身肉、果物、野菜の摂取によって定義される層内で持続しました。



結論



ナッツ類を頻繁に摂取することは、すい臓がんの他の潜在的リスク因子から独立して、女性のこの大規模な前向きコホートですい臓がんのリスクと逆相関しています。



参考資料:



Bao Y, Hu FB, Giovannucci EL, Wolpin BM, Stampfer MJ, Willett WC, Fuchs CS. Nut consumption and risk of pancreatic cancer in women. Br J Cancer 109:2911-2916, 2013


http://www.nature.com/bjc/journal/v109/n11/full/bjc20136..



コメント



すい臓がんは最も致命的な悪性疾患の一つとして知られています。



この研究の研究者らによるとナッツ類の頻繁な摂取は、女性に於けるすい臓がんのリスクが低下するとの報告に意義が有ります。



ナッツ類は、豊富なマグネシウムの他に不飽和脂肪酸、食物繊維などの生物活性成分の豊富な供給源として知られていますが、ナッツ類のマグネシウムがすい臓がんの発症リスクを下げる事に関与する可能性があると思われます。



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