公開日:2013-11-14
今話題のとうふ屋さん悲惨!
今、マスコミ、インターネットなどで、とうふ屋さんが毎日働いても利益がなく倒産や廃業に追い込まれている(2013年11月2日 読売新聞)ことが話題に取り上げられています。
なぜ、この様な状況になっているのでしょうか?
理由はいくつかあるようです。
まず、豆腐の原料である大豆は輸入に頼り、為替変動にも影響しますが、価格が高騰している点です。数年前からの輸入大豆の価格が高騰し、国産大豆も値上がりし、豆腐の販売価格は値上げできずに原料価格が値上がりしました。この結果、とうふ屋さんの利益は更に薄利となったようです。
次に、スーパーでの販売価格の競争もあり、豆腐の値下げを求められている点です。豆腐の原料価格の高騰、そしてスーパーでの販売価格の値下げによる板挟みで、とうふ屋さんの利益は益々薄利となっているようです。
この為、豆腐業者はこの10年間に全国で約5000軒が廃業しました。豆腐製造業事業所数の推移 (全豆連(一般財団法人全国豆腐連合会))によると、豆腐業者は戦後およそ50,000あり、平成19年には約12,000に激減しました。平成24年には9,059となり、この10年間で何と5,000業者が倒産や廃業に追い込まれてしまったそうです。
豆腐は日本の伝統的な食材です。全豆連(一般財団法人全国豆腐連合会)のホームページで紹介されている「豆腐の歴史」によると、豆腐は紀元前2世紀頃に中国の発祥、日本へは奈良時代(710~784年)に遣唐使の僧侶等により伝えられたとされ、江戸時代に庶民の食べ物として普及したそうです。詳しくは、全豆連のホームページ http://www.zentoren.jp/ を閲覧ください。
大豆製品の豆腐・油揚げの種類は多く、栄養が豊富です。
豆腐・油揚げ類の可食部100g(ちなみに一般的な豆腐1丁は約300gです)当たりの栄養成分量
五訂増補日本食品標準成分表 平成17年1月24日
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/...
* 表をクリックすると拡大表示します。
豆腐は、伝統的に本ニガリ(塩化マグネシウム)で凝固させたものが最適です。必須・主要ミネラルのマグネシウム、カルシウム、カリウムの量が多くバランスが良いのは、絹ごし豆腐、充てん豆腐、ゆし豆腐です。豆腐1丁およそ300gには、マグネシウムが100~200mgも含まれています。
このように、栄養素としてのマグネシウムの摂取源の豆腐は伝統的に非常に重要な食材ですが、伝統的なおとうふ屋さんが毎日働いても利益がなく倒産や廃業に追い込まれていることが公表され、我国の食業界が間違った方向に向かっていると思われます。何故ならマグネシウムの慢性的な摂取不足が2型糖尿病やメタボリックシンドロームの原因にもなっていることが明らかになっていることから、お豆腐が昔のように手軽に手に入らなくなれば、さらにマグネシウムの摂取量が不足し、その結果、生活習慣病はさらに増えることが危惧されます。この点を国が認識する必要があると思われます。この悲惨な状況は、皆さんの協力を得て伝統的なおとうふ屋さんを残したいものですが、この点を国が認識し経済的支援を含めて対策をとる必要があると考えます。
この機会に、伝統的な和の食材の一つとして「豆腐」を見直して戴きたいものです(2013.03.28 そばのひ孫と孫(は)優しい子かい? 納得!)。
MAG21研究会のホームページで何回も更新していますが、厚生労働省が策定した国民のマグネシウムの推奨量に対し、同省が毎年調査結果を公表する推定摂取量は減少一途をたどっています(2012.12.25 平成23年国民のマグネシウム摂取量過去最低)。
マグネシウムの摂取不足は、糖尿病・メタボなどの生活習慣病と密接な関係が報告されています(2012.02.21 特集:マグネシウムと生活習慣病 日本人の食生活はマグネシウム不足)。
更に、カルシウム対マグネシウム(Ca/Mg)の食事摂取比率が重要と報告して来ました(2012.12.14 日本人のCa/Mg摂取比率が上昇傾向)。日本人のCa/Mgの食事摂取比率は近年、2以上に上昇しています。この上昇は、Mgの摂取不足が関係し今後、心疾患、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、骨粗鬆症、および他の炎症に関連した種々の疾患の発症率に影響することが示唆されています。絹ごし豆腐、充てん豆腐、ゆし豆腐は、Ca/Mgの食事摂取比率がおよそ1でマグネシウムの良い摂取源となります。
参考資料:
読売新聞
全豆連(一般財団法人全国豆腐連合会)
マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております