マグネシウムの脂肪細胞分化に及ぼす影響

公開日:2009-01-19

マグネシウムの脂肪細胞分化に及ぼす影響

2007年12月1日、第5回日本機能性食品医用学会総会 ~医学と機能性食品~ においてお茶の水女子大学の岸本らは「マグネシウム高含有にがりの脂肪細胞分化に及ぼす影響」を発表しました。

抄録は、機能性食品と薬理栄養(日本機能性食品医用学会認定誌)特集:メタボリックシンドロームの予防と治療に期待される医用機能性食品に掲載されていますので、以下にお知らせ致します。

マグネシウム高含有にがりの脂肪細胞分化に及ぼす影響

岸本良美1 近藤(宇都)春美2 吉岡絵理1 才田恵美1 平田悠美子1 飯塚麻貴1 野本佳世子1 田口(柳澤)千惠1 貴堂としみ1 谷真理子1 横田邦信3 曽根博仁4 近藤和雄1

(1お茶の水女子大・生環研、2防衛医大・第一内科、3東京慈恵会医科大・糖尿病・代謝・内分泌内科、4お茶の水女子大・生活科学)

【目的】

肥満はメ夕ボリックシンドロームの診断基準の必須項目で、動脈硬化症の様々な危険因子の根本に位置している。近年、マグネシウムの様々な抗動脈硬化作用が報告されており、その中でも特に肥満との関連が注目されている。脂肪細胞は生体内のエネルギーの貯蔵組織を構成するだけでなく、アデイポサイトカインを分泌し、糖脂質代謝やインスリン抵抗性に関与することが知られている。そこで本研究では、マグネシウムを豊富に含むにがりの3T3-L1前駆脂肪細胞の分化に及ぽす影響とそのメカニズムを検討した。

【方法】

3T3-L1前駆脂肪細胞にインスリン共存下、非共存下でにがり(MAG21)を作用させ培養した。その後、脂肪細胞分化の指標として、分化特異的遺伝子の発現量をリアルタイムRT-PCR法にて測定した。また、PPARγ蛋白発現量をウエスタンブロッ卜法にて検出した。糖の取り込み能は、[3H]-Deoxy-Glucoseの細胞内ヘの吸収量を液体シンチレーションカウンターで測定した。

【結果】

インスリン非共存下でにがりを作用させたところ、PPARγのmRNA発現量はコントロールに対して、16.3倍(p<0.001)に有意に増加し、他の分化特異的遺伝子(aP2, C/EBPα等)のmRNA発現量、脂肪滴の蓄積ならびにPPARγの蛋白発現量も、同様に増加が認められたが、糖の取り込みの促進作用は見られなかった。一方、インスリン共存下でにがりを作用させると、インスリン単独の作用に比ベて脂肪細胞の分化は促進せず、糖の取り込み能を上昇させた。

【総括】にがり(MAG21)を高濃度で3T3-L1前駆脂肪細胞に作用させると、分化を促進する可能性が示された。塩化マグネシウム溶液の作用においても同様の影響が見られたことより、にがりの分化促進作用はマグネシウムの影響が大きいことが考えられた。一方、糖の取り込みに関して、にがり単独での促進作用は見られなかったが、インスリン共存下ではインスリンの作用を亢進する結果となり、インスリン抵抗性を改善する可能性が示唆された。

参考文献:

岸本良美、近藤(宇都)春美、吉岡絵理、才田恵美、平田悠美子、飯塚麻貴、野本佳世子、田口(柳澤)千惠、貴堂としみ、谷真理子、横田邦信、曽根博仁、近藤和雄: マグネシウム高含有にがりの脂肪細胞分化に及ぼす影響.機能性食品と薬理栄養 4:353, 2007

【MAG21研究会コメント】

この研究の共同研究者の一人はMAG21研究会のメンバーの東京慈恵会医科大学准教授 横田邦信先生です。

この研究で使用した素材は、“MAG21”という天然高濃縮マグネシウム液です。横田邦信先生の臨床研究でも同じ素材を用いています。“MAG21”は西オーストラリア・デボラ湖産のマグネシウム含有量が極めて豊富、カリウムが比較的多く、更にナトリウムとカルシウムが極めて少ない天然高濃縮マグネシウム(100ml当りマグネシウム10300mg、カリウム633mg、ナトリウム584mg、カルシウム4.6mg)です。なお、研究論文は、以下の論文に報告しています。

Yokota K, Kato M, Lister F, et al., Clinical Efficacy of Magnesium Supplementation in Patients with Type 2 Diabetes. J Am Coll Nutr 23:506S-509S, 2004

http://www.jacn.org/cgi/gca?sendit=Get+All+...

マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。 

10-029 機能性食品と薬理栄養

検索


新着記事