公開日:2008-12-03
ドイツ10人に1人がマグネシウム不足
【2008年10月16日】発行の記事: Medical Tribune によると
ドイツのルートウイヒ・マクシミリアン大学(ミュンヘン)薬理学のWolfgang Vierling教授は「日常の臨床ではマグネシウム(Mg)に注意が払われることはほとんどなく、まったく測定されないケースも多い。しかし、Mg欠乏がさまざまな代謝性疾患に悪影響を及ぼすとの指摘もふえている」と第114回ドイツ内科学会で報告した。
Mgは体内でさまざまな働きをしているが、Mg不足はこれまでの想定よりもはるかに多く、一般人口の10人に1人、入院患者ではその比率は倍に達するとされる。
Mg不足の原因は主に食事からの摂取不足である。ドイツのMg推奨摂取量は、1日当り女性が平均300mgで男性が400mgである。
食事以外によるMg不足は、薬剤(利尿薬、一部の抗菌剤、ジギタリス)、アルコールの乱用で尿中排泄量が増大する。
Mg不足の症状として、痙攣、興奮性の増大、不整脈傾向、頭痛、抑うつ、糖尿病患者では代謝が悪化して合併症リスクが上昇、甲状腺機能亢進も悪化する。
「内分泌疾患では、定期的なMg測定は必須」と強調している。
Mg不足が確認されると適切な食品で補えるが、一時的に補充薬も必要となる。
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【MAG21研究会コメント】
ドイツにおける1日当りのMg推奨量はわが国よりも多く、女性が平均300mgで男性が400mgですが、Mg不足が深刻で一般人口の10人に1人、入院患者ではその比率は倍に達するとの報告には驚きます。 WHOや欧米では既に男性30歳以上では420mg/日が1997年以降推奨されていますが、日本は未だに同年代で370㎎/日のままで、日本における慢性的なMg不足が懸念されます。
欧米人は昔から狩猟民族で農耕民族の日本人よりインスリン分泌能がはるかに高いと云われています。しかし、インスリンの生合成~糖代謝の働きにはMgが必要不可欠です。この為、国民のMg摂取不足は深刻な健康問題となります。
また、これまでMAG21研究会では、Mg摂取不足と2型糖尿病やメタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病との密接な関係を強調( 『第51回日本糖尿病学会』で横田先生が発表、 『治療学』に横田先生の論文が掲載、 『日本糖尿病療養指導士認定機構 CDEJ News Letter』に横田先生の記事が掲載 など)してきました。
毎日十分なMg摂取を心掛けることが大切ですが、今回の報告にもありますように、日頃の食生活でのMg摂取が難しい場合は、サプリメントを含む補充薬も必要といえます。
マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。