4歳から8歳児のマグネシウム代謝

公開日:2014-03-21

4歳から8歳児のマグネシウム代謝



2014年、米国農務省小児栄養研究センター、ベイラー医科大学小児科の研究者らは、4歳から8歳児のマグネシウム代謝に関する報告をしたので、その論文の概要を以下に紹介します。



背景



マグネシウムは骨健康における主要因ですが、小児におけるマグネシウム摂取量あるいは吸収量および骨塩量(BMC)あるいは骨密度(BMD)との関係を評価した研究はほとんどありません。



方法



対象者は4歳から8歳児の50人で、Mgの摂取量、吸収量、尿中排泄量を測定しました。Mgの吸収は二重追跡安定同位体技術(a dual‐tracer stable isotope technique)を用いて25Mgの静脈内および26Mgの経口投与にて測定しました。カルシウムの同位元素測定は同時に行いました。



結果



この研究集団の特徴を表1に示し、マグネシウム吸収とバランスデータを表2に示します。



表 1. 研究集団の特徴(一部抜粋)



10-149 表1研究集団特徴



* 男女児間の有意差



表 2. 研究集団のマグネシウム吸収とバランスデータ



10-150 表2Mg吸収とバランスデータ



Mg、マグネシウム。



* 男女児間の有意差(赤色は統計的有意性を示す)。



* 各図表をクリックすると拡大表示します。



女児より男児(67±12% 対 60±8%, p=0.02)でマグネシウムの吸収効率(%吸収)が著しくより大きな変化が認められましたが、マグネシウムの推定保持差(男児と女児の平均37 mg/日)に変化は認められませんでした。



食事性マグネシウム摂取量と推定マグネシウム保持量の関係で、摂取量133 mg/日は平均必要量(EAR)110 mg/日よりわずかに多く、平均保持量10mg/日となり、この年齢集団における最小の成長関連必要量を示しました。



共分散分析では、マグネシウム摂取量と総マグネシウム吸収量が全身の骨塩量(BMC)および骨密度(BMD)の両方に有意な関連を示しましたが、カルシウム摂取量と総カルシウム吸収量は関連していませんでした。



結論



米国における小児の通常のマグネシウム摂取量はすべての小児ではなく、大半で必要量を満たすことを示唆します。米国における小児の通常の食事範囲内で、食事性マグネシウム摂取量および吸収は骨の健康において重要ですが、認知度の少ない要因です。



参考資料:



Abrams SA, Chen Z, Hawthorne KM. Magnesium Metabolism in 4-Year-Old to 8-Year-Old Children. J Bone and Mineral Research, 29:118–122, 2014



http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jbmr.2021/full



コメント



マグネシウムは骨の健康において重要ですが、小児におけるマグネシウムの摂取、吸収および骨塩量、骨密度との関係を評価した研究はほとんどありません。この研究者らは、小児成長期におけるマグネシウム摂取量と総マグネシウム吸収量が全身の骨塩量および骨密度の両方に有意な関連があることを示し、カルシウム摂取量と総カルシウム吸収量が関連していないことを報告したことに大変意義があると言えます。



カルシウムは骨の健康には重要なミネラルで食事からの摂取不足がひどく無い限り、マグネシウムは小児の骨の形成にカルシウムより重要な役割が認められることから、この分野の更なる研究が期待されます。



日本人の食事摂取基準(2010年版)では、4歳から8歳児のマグネシウムの推奨量は1日当たり100~170mgです。



2009.07.01 日本人の食事摂取基準(2010年版)



マグネシウムを多く含む食材は和食で、以下のサイトをご参考にしてください。



2013.03.28 そばのひ孫と孫(は)優しい子かい? 納得!



日本でも一般的に、カルシウム摂取が重要だとの認識が高いので、カルシウムを意識して摂るのであればマグネシウムはそれ以上に意識して摂る必要があることはこれまで述べてきた通りです。



マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。




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