高齢の糖尿病患者のうつ症状と低マグネシウム血症

公開日:2011-11-07

高齢の糖尿病患者におけるうつ症状と低マグネシウム血症



2007年、メキシコMedical Research Unit in Clinical Epidemiology, Mexican Social Security Institute (IMSS)の研究者らは、高齢の糖尿病患者におけるうつ症状と低マグネシウム血症に関する報告をしたので、その論文概要を以下に紹介します。



背景:



低マグネシウム血症が高齢の糖尿病患者でうつ症状を伴うという仮説を評価するために、この研究を行いました。



方法:



うつ症状を伴う65歳以上合計55人の2型糖尿病患者を対象に、年齢と性がマッチした症例対照試験において、うつ症状が無い糖尿病患者を対照群として比較しました。Yesavage's scale(高齢者うつ状態判定法)の11ポイント以上をうつ症状の定義のために使用し、低マグネシウム血症は血清マグネシウム濃度0.74 mmol/L (1.8 mg/dl)未満と定義しました。うつ症状を呈する可能性があるのは、良く知られている原因、疾患および薬または低マグネシウム血症を引き起こす場合を除外基準としました。



結果:



血清マグネシウム濃度は、比較対照群よりうつ病患者が有意に低かった(0.74 +/- 0.25 vs. 0.86 +/- 0.29 mmol/L, p = 0.02)。うつ症状とうつ症状の無い対照グループ24人(43.6%)と7人の(12.7%)個人は、低マグネシウム濃度を示しました(p = 0.0006)。調整後ロジスティック回帰分析の結果では、低マグネシウム血症とうつ症状には独立した関連を示しました(OR 1.79; CI(95%)1.1-6.9, p = 0.03)。



結論:



この結果は、低マグネシウム血症が独立して高齢者糖尿病患者のうつ症状と関連することを示唆します。



参考資料:



Barragan-Rodríguez L, Rodríguez-Morán M, Guerrero-Romero F. Depressive symptoms and hypomagnesemia in older diabetic subjects. Arch Med Res 38:752-756, 2007



http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17845894 



コメント



研究者らの高齢糖尿病患者のうつ症状と低マグネシウム血症の関連についての研究結果を公表されたことに意義があると言えます。



当ホームページでは以下のサイトで「抑うつ」に関してご紹介してきました。



2008.12.03  ドイツ10人に1人がマグネシウム不足



2008.05.01  『治療学』に横田先生の論文が掲載



次回は、同じメキシコの研究者らが発表した高齢2型糖尿病患者のうつ治療における経口マグネシウムサプリメントの有効性と安全性: ランダム化、同等性試験結果の報告を掲載致します。 ご期待下さい。



マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。






検索


新着記事