マグネシウムの体内における吸収 -その2-

公開日:2010-05-13

マグネシウムの体内における吸収 -その2-

前回、「マグネシウムの体内における吸収 -その1-」では、マグネシウムの種類、マグネシウムの体内における吸収についてまとめました。今回、「マグネシウムの体内における吸収 -その2-」では、飲料水ミネラルウォーターからのマグネシウムの体内における吸収についてまとめました。

マグネシウムの体内における吸収

マグネシウムは体内で作れないため飲食物から摂りますが、小腸から吸収され、余分なマグネシウムは腎臓から尿中・糞便中に排泄されます。マグネシウムの吸収は、マグネシウム化合物の種類と形状、摂取量、体内のマグネシウム貯蔵量、健康状態、体が必要とする状態などによっても異なります。

以下の内容は、WHOが公開しているCalcium and Magnesium in Drinking-water: Public health significance, Geneva, World Health Organization, 2009のウエッブ情報の内容を一部引用改変したものです。

●      2002年、フランスのPerrier Vittel Water InstituteとスイスのNestlè Research Centerの研究者らは、「健康な女性のミネラルウォーターからのマグネシウム生物学的利用能に対する食事の影響」に関する研究結果を報告しました(Sabatier et al. 2002)。

マグネシウムの豊富なミネラル水(マグネシウム110 mg/L)から、マグネシウムの生物学的利用能(Bioavailability: 生物学的利用能とは、飲食物、薬物、サプリメントのマグネシウムのどの位が腸から吸収され、最終的に体の細胞や組織で有効に使われるかを数字で表したものといえます。)を測定するため、クロスオーバーデザインで25~45歳の女性10人が食事の有無にかかわらず水と共にマグネシウム アイソトープ (25Mg 、26Mg)を飲用しました。

マグネシウムの吸収は、ミネラル水のみですと45.7±4.6%、食事と共にミネラル水を飲むと有意に増加(P = 0.0001)し52.3±3.9%で、相対差は14.4%でした。さらにまた、マグネシウムの保持は、ミネラル水のみですと37.4±4.0%、食事と共にミネラル水を飲むと有意に増加(P = 0.0004)し41.5±4.2%で、相対差は11.0%でした。

結論として、健康な若い女性において、マグネシウムの豊富なミネラルウォーター単独で飲用すると、マグネシウムのおよそ50%は吸収され、食事と共に水を飲用すると、ミネラルウォーターからのマグネシウム生物学的利用能は強化されます。

●      2002年、ベルギーとフランスの研究者らは、「ミネラルウォーターからのマグネシウム生物学的利用能。成人男性における研究。」に関する研究結果を報告しました(Verhas et al. 2002)

目的は、マグネシウムの豊富なミネラルウォーターからのマグネシウム腸内吸収を評価することでした。

対象は、25~42歳の健康な男性10人のボランティアで、それぞれの対象者は、ランダム順で2つのセッションを完了。最初のセッションにおいてマグネシウム1.2mmolを含んでいる300mlの水(マグネシウム 29mg/300ml)を飲用し、次のセッションにおいて28Mgマグネシウムを静脈注射しました。

マグネシウムの平均生物学的利用能は、59.1±13.6%でした。マグネシウムの吸収と年齢は、有意に逆相関がみられました(r=-0.68, P=0.035)。

結論として、マグネシウムの豊富なミネラルウォーターは、マグネシウムの確実な源です。

参考資料:

Sabatier M, Arnaud MJ, Kastenmayer P, Rytz A, Barclay DV. Meal effect on magnesium bioavailability from mineral water in healthy women. American Journal of Clinical Nutrition 75:65–71, 2002

http://www.ajcn.org/cgi/reprint/75/1/65

Verhas M, Gueronniere V de La, Grognet J-M, Paternot J, Hermanne A, Winkel P Van den , Gheldof R, Martin P, Fantino M, Rayssiguier Y. Magnesium bioavailability from mineral water. A study in adult men. European Journal of Clinical Nutrition 56:442–447, 2002

http://www.nature.com/ejcn/journal/v56/n5/pdf/1601333a.pdf

WHO 飲料水中のカルシウムとマグネシウム: 公衆衛生的意義 2009発行

WHO Calcium and Magnesium in Drinking-water: Public health significance, Geneva, World Health Organization, 2009

http://whqlibdoc.who.int/publications/2009/9789241563550...

【コメント】

飲料水に含むマグネシウムは、およそ50~59%が腸管から吸収されることが明らかにされました。また、食事と共にマグネシウムを含む水を飲むと吸収が増加します。

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