ミネラル管理の重要性、作物と人の健康

公開日:2009-02-26

 ミネラル管理の重要性、作物と人の健康

2008年、東京農業大学客員教授 渡辺和彦先生が「ミネラル管理の重要性、作物と人の健康」について発表されました。筆者の講演内容は、日本土壌肥料学会2008年愛知大会運営委員会により 2008年度 食と健康・予防医療を考える -ミネラルと油脂栄養の重要性-(公開シンポジウム資料)として発行されています。

国民への食糧生産と供給をしている第一次産業の農業の研究分野から見られた「ミネラル管理の重要性、作物と人の健康」は大変興味深く、是非ご一読をお勧め致します。

筆者の講演内容は、次の4章に纏められていますが、うち第IIと第III章について詳しく列記致します。

I      骨粗しょう症対策に農産物ミネラル、ホウ素とケイ素

       健康な人体の源は何と! 作物を育てる肥料、土壌改良資材であった

II     作物はなぜ糖尿病にならないか

       カリウムとマグネシウム不足ラットの雄は雌より先に死亡

1-1  ショ糖とグルコース(ブドウ糖)の違い

1-2  グルコースの細胞内への取り込み

1-3  グルコースはタンパク質と結合しやすい

         メイラード反応が酸化ストレスを亢進し細胞が老化

1-4  マグネシウム摂取は2型糖尿病の発症率を低下する

1-5  タイ東北部の出稼ぎ労働者の突然死の原因はマグネシウム・カリウム不足?

おわりに

III    日本人はマグネシウム不足

       植物におけるマグネシウムの活性酸素抑制効果

1 マグネシウム不足でメタボリックシンドローム

1-1  国民健康・栄養調査結果から

1-2  栄養機能食品の栄養成分にマグネシウムが追加(平成16年)

1-3  なぜ人の健康維持にマグネシウムが大切か

IV    亜鉛・・高齢者に多い食欲不振、皮膚障害に劇的な効果

       寿命宣言された高齢者がお元気になられた事例から

参考資料:

日本土壌肥料学会2008年度愛知大会公開シンポジウム

食と健康・予防医療を考える-ミネラルと油脂栄養の重要性-

発行:              2008年9月11日                      有償(実費)

編集・発行:      日本土壌肥料学会2008年度愛知大会運営委員会

編集者:          加藤 俊博

                      〒480-1193 愛知県愛知郡長久手町岩作三ヶ峰1-1

                      愛知県農業総合試験場・環境基盤研究部内・事務局

                      TEL: 0561-62-0085(内線 341)

                      FAX: 0561-63-0815

印刷:              中部印刷株式会社

【MAG21研究会コメント】

筆者の渡辺和彦先生は農学者で、必須・主要ミネラルのマグネシウム等を長年ご研究されています。特に、日本人の食事摂取基準と実際の摂取量を比較されました。現代の日本人はマグネシウム摂取不足で、糖尿病・メタボリックシンドロームの増加、女性に多い偏頭痛、制酸や便秘作用、血圧、活性酸素との関係などを解説されています。

渡辺先生は、土壌肥料の分野においてミネラルとヒトの健康についても啓蒙されています。このことは、「私たちが使用している肥料、ミネラルがヒトの健康維持に重要な役割をしていることをお互い知っておきたいためである。肥料・ミネラルは作物だけでなく、ヒトの健康維持にも重要な働きをしている」と述べています。

ヒトは皆、毎日の食を通して必要な5大栄養素、即ちたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンとミネラルを摂りながら生活、仕事、運動をしています。取り分けマグネシウムの摂取は、時代と共に変化し(2007.08.13 なぜマグネシウム不足?)、現代人は慢性的摂取不足となっています(2009.02.19 マグネシウム不足が深刻)。

今後マグネシウム摂取の重要性がさらに認知されて食育にも取り入れられる事が切に望まれます。

この記事に対するご意見やご質問を心からお待ちしております。

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