「異常なし」の割合最低に 昨年の人間ドック受診者

公開日:2007-09-10

「異常なし」の割合最低に 昨年の人間ドック受診者

日本人間ドック学会(奈良昌治(なら・まさはる)理事長)は8月24日、2006年に人間ドックを受けた人のうち、検査項目に異常がなかったのは11.4%と、学会が集計を始めた1984年以来、最低だったと発表した。これまでの最低記録は04、05年の12.3%だった。 

集計対象は、同学会などが指定する約800施設で人間ドックを受診した約295万人。「異常なし」は約33万人にとどまった。 

異常があった項目では食生活や運動など生活習慣に関連が深いものが目立ち、肝機能障害が26.2%と最多。高コレステロール血症(25.4%)、肥満(24.4%)、高血圧(15.9%)と続き、前年と比べほぼ横ばいか増加傾向を示した。 

同学会は、外食産業やコンビニの普及により、食物に占める脂肪の割合が増えたことや、サラリーマンのリストラなどによるストレスが生活習慣を悪化させていることが理由と指摘。集計した牧田総合病院付属健診センター(東京都大田区)の笹森典雄(ささもり・のりお)院長は「意識して生活習慣を変える工夫が大事だ」としている。 

MAG21研究会コメント

日本人間ドック学会は、2006年に人間ドックを受診した人のうち、「異常なし」の割合が過去最低の11.4%となった理由を「食物に占める脂肪の割合が増えたことや、サラリーマンのリストラなどによるストレスが生活習慣を悪化させている」と指摘されています。 

これらの理由は、当MAG21研究会が指摘していますが、日本人のマグネシウム不足が生活習慣病の増加傾向に深く関係していると考えられます。 

戦後の“半欧米化”した食生活は、特に穀類(大麦・雑穀など)の摂取が激減し、逆に高脂肪・高タンパク・高カロリーの食事が増えているため、マグネシウムの摂取量が減っています。

また、国立健康・栄養研究所の西牟田守先生らの研究では、ストレスがかかると、尿中にマグネシウム量が増えると報告されています。

成人30~49歳男性の場合のマグネシウム推奨量と推定摂取量の比較をすると、1日あたりおよそ100mg以上が不足しています。

この慢性的マグネシウムの摂取不足がインスリン抵抗性を惹起し耐糖能異常を来たします。日本人ではこのインスリン抵抗性を代償するインスリン分泌能が低いため分泌代償不全を来たし2型糖尿病を発症し易くなると言えます。

さらに慢性的マグネシウム摂取不足は、LPL(リポ蛋白リパーゼ)の活性を低下させるために中性脂肪が高くなりがちで、細胞内Ca濃度が上昇して血圧も上昇傾向になり、また脂肪細胞からのアディポサイトカインの分泌も亢進させます。その結果、メタボリックシンドロ-ムや糖尿病が発症すると考えられます。

従って、予防にはマグネシウム不足を補う食生活の改善(食生活での改善だけでが難しい場合はサプリメントを考慮)、適度な運動習慣を持ち、休養・喫煙・飲酒などの生活習慣を見直し、そしてストレスを減らすことが大切です。

 

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