メタボリックシンドロームの予防 -その2-

公開日:2007-08-21

メタボリックシンドロームの予防 -その2-

● 食事によるマグネシウム摂取の有用性も数多く報告されています。

◆ 2004年、米国ハーバード大学医学部の研究者らは、マグネシウム摂取量と2型糖尿病発症リスクとの関連のエビデンス2つを発表しています。

ひとつは、“約85,000例の女性と約42,000例の男性の食習慣を2~4年おきに調査し18年間調べた結果、マグネシウムが豊富に含まれる食べ物を多く摂っていた人は糖尿病の発症率が有意に低い”と報告しています(Lopez-Ridaura R, et al., Diabetes Care 27:134-140, 2004)。

もうひとつは、“食事から十分マグネシウムを摂取している女性では2型糖尿病の発症リスクが10%減少し、特に肥満女性では20%も減少する”と報告しています (Song Y, et al., Diabetes Care 27:59-65, 2004) 。

◆ 小児メタボリックシンドロームに関する研究論文も発表されています。

2005年、米国バージニア大学医学部の研究者らは、“肥満児(8~17歳)のマグネシウム不足はインスリン抵抗性と関係し、マグネシウムのサプリメントまたはマグネシウムの豊富な食品を多く摂る事は、肥満児の2型糖尿病の予防に重要である”と報告しています(Huerta MG, et al., Diabetes Care 28:1175-1181, 2005)。

◆ 2006年、米国ノースウエスタン大学医学部の研究者らは、“18~30歳の若者4,637例を対象に15年間追跡調査し、マグネシウム摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べてメタボリックシンドロームになるリスクは31%減少”と報告しています(He K, et al., Circulation 113:1675-1682, 2006)。

◆ 2006年、米国ハーバード大学の研究者らは、“21~69歳の米国黒人女性41,186人の食事からのマグネシウム、カルシウムと2型糖尿病の関係を8年間追跡調査した結果、食事でマグネシウムが豊富に含まれる穀物は2型糖尿病のリスクをかなり低くする。カルシウム摂取量と2型糖尿病リスクとの関係は見られなかった”と報告しています(van Dam RM, et al., Diabetes Care 29:2238-2243, 2006)。

◆ 食事による高血圧症の予防と治療に関する研究論文も発表されています。

1997年、米国ジョンズホプキンス大学医学部の研究者と共同研究グループのDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)臨床研究では、“果物、野菜そして低脂肪乳製品が豊富で総脂肪分の少ない食事は血圧を下げることができ、高血圧の予防と治療に役立つ”と報告しています(Appel LJ, et al., N Engl J Med 336(16):1117-1124, 1997)。この研究では、どの食事成分が血圧降下に役立っているのかは明らかにしておりませんが、1日1人当りの野菜と穀類の摂取が多い群では平均480mgのマグネシムを摂っているので、血圧を下げるのに役立っていると考えられます。

2005年、イランの研究者らによるメタボリックシンドローム患者での臨床研究では、“DASH食は、男性と女性のメタボリックシンドロームのリスクを低減し有益な影響を与える”と報告しています(Azadbakht L, et al., Diabetes Care 28:2823-2831, 2005)。ここでのDASH食では、1日1人当り平均460mgのマグネシムを摂っていました。

2006年、米国メリーランド大学の研究者らは、“年配者(60~98歳)の穀物の摂取とメタボリックシンドロームそして死亡率は逆の関係がある”と報告しています(Sahyoun NR, et al., American Journal of Clinical Nutrition 83(1):124-131, 2006) 

2006年、米国ハーバード大学医学部の研究者らは、マグネシウムの摂取と高血圧の予防を評価するため、米国人女性45歳以上28,349人を対象に10年間追跡調査し“マグネシウムの豊富な食品(例えば穀物、ナッツ、豆類と野菜)からより多量のマグネシウム摂取が高血圧の予防に有益である”と報告しています (Song Y, et al., American Journal of Cardiology 98:1616-1621, 2006)。マグネシウム摂取が1番多く高血圧のリスクが減少した群では、一日1人当り平均434mgのマグネシムを摂っていました。

 

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