女性及び小児とメタボリックシンドロームについて 成人病胎児期発症説

公開日:2007-08-23

女性及び小児とメタボリックシンドロームについて 成人病胎児期発症説

成人病胎児期発症説

お腹の赤ちゃんは、成人病が発症するのですか?

1980年代から英国医学会の権威バーカー博士が「成人病胎児期発症説」を提唱しています(バーカー・ディヴィッド著、藤井留美訳、福岡秀興監訳:「胎内で成人病は始まっている」ソニー・マガジン社、東京、2005)。

この説は、“成人病は、胎児期や新生児期の栄養状態によってその素因の約70%が形成され、出生後の生活習慣が加わることで発症する”というものです。英国における調査では、出生児体重が小さい人たちほど成人に達したときに虚血性心疾患による死亡が多いと報告されています。

なぜお腹の赤ちゃんが、低栄養状態になるのですか?

原因は4つあり、妊娠前の母体栄養状態、妊娠中の母体の栄養及び母体の体重増加、喫煙などへの暴露、妊娠中毒症・自己免疫疾患による胎盤機能不全などがあります。

これらに関連し、わが国では、出生時の平均体重の低下が徐々に認められ、2500g未満の低出生体重児の出生数が年間およそ10万人まで増加しています。

4リンク1 出生数

お腹の赤ちゃんが低栄養状態になると、将来どうなりますか?

胎児が低栄養状態にさらされる時期により、成人になってから発症する症状が異なると報告されています。

妊娠初期では、高フィビリノーゲン血症、低凝固因子VII血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症などの脂質代謝異常が原因の虚血性心疾患が多発します。

妊娠中期では、耐糖能異常(糖尿病の予備軍)、慢性閉塞性肺疾患、腎機能障害があります。

妊娠末期の場合、耐糖能異常が多発したり、骨粗鬆症や統合失調症の発症があります。

わが国では、小児メタボリックシンドローム、小児成人病が急激に増加傾向にあり、その原因の一部として胎児期の栄養に由来している可能性はあるようです。

お腹の赤ちゃんが将来成人病にならないようにするには、どうしたらいいですか?

小児メタボリックシンドローム、小児成人病の予防としてまず、女性が妊娠されると望ましい体重増加量がありますので、気を付けていただきたいと思います。

4リンク2 妊娠体重

次に、妊娠前後から食生活の改善、適度な運動習慣を持ち、休養・喫煙・飲酒などの生活習慣を見直し、そしてストレスを減らすことが大切です。

 

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