2型糖尿病患者の血糖応答に対する経口マグネシウムサプリメントの効果

公開日:2021-12-02

2019年、パレスチナ・ガザ・アル=アズハル大学(Al-Azhar University–Gaza)の研究者らは、“2型糖尿病患者の血糖応答に対する経口マグネシウムサプリメントの効果”に関する報告をしたので、その論文の概要を以下に紹介します。

背景
マグネシウム(Mg)サプリメントは、2型糖尿病(T2DM)患者の血糖応答を制御するのに役立つ可能性があります。

目的
この研究は、MgサプリメントがT2DMの血糖コントロール指標を改善するかどうかを分析することです。

方法
食事安定期の1週間後、最終的に残った被験者35~60歳男性21人女性19人計40人の2型糖尿病患者を性別、年齢、空腹時血糖(FBS)、Mg値に応じて層別化し、ランダムに2つのグループに割り当てました。
介入群は経口マグネシウムサプリメント*を1日あたり250 mg(マグネシウム元素量として)を3か月間摂取しましたが、対照群は介入期間を通していかなる種類のサプリメントも摂取させませんでした。

市販のJamiesonマグネシウム錠剤を使用。各錠剤には、250 mgの高力価で吸収性の高いマグネシウム(酸化物、グルコン酸塩、乳酸塩)が含まれています。 サプリメントには塩、砂糖、でんぷん、グルテン、乳糖は含まれていません。介入群の各患者は、1日1錠のMg錠剤を3か月間服用しました。

結果
Mg元素量1日あたり250mgの投与は、介入3ヶ月後の対照群と比較し、HbA1C(8.32から7.96%、p <0.001)、インスリンレベル(IL)(15.56から12.18 µIU/mL、p <0.001)、C-ペプチド(2.28から1.90 ng/mL、p = 0.001)、HOMA-R(6.16から4.44、p <0.001)、HOMA.%(59.99から52.37、p = 0.036)で介入群の有意な改善を認めました。

結論
この研究の結果は、経口Mgサプリメントがインスリン抵抗性を低下させ、2型糖尿病患者の血糖コントロール指標を改善することが明らかになりました。
試験登録: 現在の対照試験PHRC/HC/32/15。 2015年10月5日登録。

参考資料:
ELDerawi WA, Naser IA, Taleb MH, Abutair AS. The Effects of Oral Magnesium Supplementation on Glycemic Response among Type 2 Diabetes Patients. Nutrients 11:44, 2019
DOI: 10.3390/nu11010044

【コメント】
このパレスチナの研究者らは今回の臨床介入試験により、経口Mgサプリメントがインスリン抵抗性を低下させ、2型糖尿病患者の血糖コントロール指標を改善することを明らかにしました。

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