日本人のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)摂取量とCa/Mg摂取比率(1946~2019年) 更新

公開日:2021-05-06

日本人のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)摂取量とCa/Mg摂取比率のデータを昭和21(1946)年~令和元(2019)年まで更新しました。

Ca摂取量(全国平均1人1日当り)のデータは、石松らの論文(1946~1991年)、国民栄養の現状(1946~2002年)、国民健康・栄養調査(2003~2019年)の資料を参考にしました。Ca摂取量は1946~1995年頃まで1日平均およそ253からピーク時の585mgまで上昇しましたが、以後2019年は505㎎で減少傾向となっています。

Mg摂取量(全国平均1人1日当り)のデータは、石松らの論文(1946~1991年)、国民健康・栄養調査(2001~2019年)の資料を参考にしました。Mg摂取量は1946~1973年頃まで1日平均およそ233からピーク時の296mgまで上昇しましたが、以後2019年は247㎎で減少傾向となっています。

Ca/Mg摂取比率は、石松らの論文、国民栄養の現状、国民健康・栄養調査それぞれの摂取量を基に算出しました。摂取比率は1946~1950年頃までにおよそ1.1から0.8まで減少し、1951~1958年までに1.0まで上昇し、1959~1971年までに1.5まで上昇しています。そして1970年代に1.6、1980年代に1.7、1990年代に1.8、2000年代に2.1、以後2019年は2.04で横ばいの傾向となっています。

注) 石松らの論文(1996年)の考察で、CaとMgの摂取比率は2:1が望ましいとされていますが、本調査の平均の比は1.4:1であり、Mgは現状からみて摂取増が望まれる、と述べています。

Ca/Mg摂取比率は、1946年から2019年の73年間を分析すると、1950年の最小0.83から2011年の最大2.18に上昇し、近年では2.1前後となっています。この上昇理由として戦後、Ca摂取量はおよそ2倍に上昇していますが、Mg摂取量はほぼ横ばいの状況のためです。

日本人のCaとMgの食事摂取比率は2対1より低く、2対1.5~1が望ましいと考えられています。この比率を減少させるにはMg摂取量を相当上昇させることが必要になります。

食事から摂るCa/Mg摂取比率が高いほど、虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患死亡率が高いといわれています。

日本では一般的に、Ca摂取の重要性と認識が高いので、Caばかり摂る事へのひとつの警鐘と考えられます。Caを意識して摂るのであればMgはそれ以上に意識して摂る必要があります。



参考文献:
厚生労働省 「国民健康・栄養調査」[昭和21(1946)年~平成27(2015)年]から引用作図
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou...

厚生労働省 「国民健康・栄養調査」[平成28(2016)年~令和元(2019)年]から引用作図
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html

石松成子、滝沢和恵、平島美穂:無機質摂取量の年次推移に関する調査 -昭和21年(1946)から平成3年(1991)-.日本食生活学会誌7:43-49, 1996
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh1994/7/1/7_1_43

【コメント】
戦後の日本人のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)摂取量を基に算定されたCa/Mg摂取比率のデータは発表されておりません。MAG21研究会は、食事から摂るCaとMgの比率が重要であるとの認識から、限られたデータを基に調査した結果を報告しています。

今回、日本人のCa、Mg摂取量とCa/Mg摂取比率のデータを昭和21(1946)年~令和元(2019)年まで更新したので、戦後73年間における我が国のCa、Mg摂取状況の傾向を見ることができます。

日本人のCa/Mgの食事摂取比率は、1940年代の1前後から近年2倍の2以上に上昇しています。この上昇は、Mgの摂取不足が関係しています。

マグネシウムの摂取不足は虚血性心疾患、高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病、歯周病、喘息、不安とパニック発作、うつ病、(慢性)疲労、片頭痛、骨粗鬆症、不眠症、こむら返り、便秘、PMS(月経前症候群)、胆石症、尿路結石、大腸がん、すい臓がん、動脈硬化、全身性炎症性疾患、悪阻(つわり)、そして長期記憶、アルツハイマー病など様々な疾病・病態とも密接に関連していることが基礎的・疫学的・臨床的研究でも明らかにされています。今後マグネシウム摂取の重要性がさらに認知され、正しい食育が行われる事が切に望まれます。

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