経口マグネシウム補充は代謝的に肥満した正常体重者の代謝プロファイルを改善: 無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験

公開日:2020-04-28

2014年、メキシコ・Mexican Social Security Instituteの研究者らは、“経口マグネシウム補充は代謝的に肥満した正常体重者の代謝プロファイルを改善: 無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験”と題した研究報告をしたので、その論文概要を紹介します。

背景と目的
研究目的は、代謝的に肥満した正常体重(MONW)の個人の代謝プロファイルと血圧の改善における経口マグネシウム補充の有効性を評価することです。

方法
低マグネシウム血症のMONW個人47人が、無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験に登録されました。介入群は5%塩化マグネシウム溶液30 mL(MgCl2 50g/1,000 ml溶液、マグネシウム量382 mgに等しい(n = 24人、平均年齢31.9歳))またはプラセボ(偽薬)溶液30 mL(n = 23人、平均年齢39.5歳)を4か月間1日1回摂取しました。

肥満または過体重でない場合、空腹時血糖値が100 mg/dL以上、インスリン抵抗性指数が3以上、中性脂肪値が150 mg/dL以上、および/または収縮期血圧と拡張期血圧が140および90 mmHg以上と定義されている MONW表現型。血清マグネシウム値1.8 mg/dL未満を低マグネシウム血症と定義しました。

結果
介入前の条件では、グループ間に有意差はありませんでした。
フォローアップ終了後、平均値の収縮期血圧(-2.1対3.9% mmHg、p <0.05)および拡張期血圧(-3.8対7.5% mmHg、p <0.05)、インスリン抵抗性指数(-46.5対-5.4%、p <0.0001)、空腹時血糖値(-12.3対-1.8% mg/dL、p <0.05)および中性脂肪値(-47.4%対10.1% mg/dL、p <0.0001)における変化は、塩化マグネシウムを摂取した被験者では対照群と比較して有意な低下が認められました。

結論
経口マグネシウム補充は、MONW個人の代謝プロファイルと血圧を改善します。

参考資料:
Rodríguez-Moran M, Guerrero-Romero F. Oral magnesium supplementation improves the metabolic profile of metabolically obese, normal-weight individuals: a randomized double-blind placebo-controlled trial. Arch Med Res. 45:388-393, 2014 doi: 10.1016/j.arcmed.2014.05.003.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24830937

【コメント】
代謝的に肥満した正常体重(MONW)個人の代謝プロファイルと血圧の改善における塩化マグネシウム(MgCl2)を使った経口マグネシウム補充の有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験は、マグネシウム摂取群の方がプラセボ群よりも収縮期血圧に対して-2.1% mmHg、拡張期血圧に対して-3.8% mmHg、インスリン抵抗性指数(-46.5%)、空腹時血糖に対して-12.3% mg/dL、中性脂肪に対して-47.4% mg/dLと有意な低下が認められました。
マグネシウム補充は、血圧、インスリン抵抗性指数、高血糖、および中性脂肪を低下することによってメタボリックシンドロームを改善することを初めて示したことに大変意義があると言えます。

このメキシコの研究者らDr. Rodríguez-Morán, Dr. Guerrero-Romeroは、2012年メキシコのメリダで開催された第13回国際マグネシウムシンポジウム(SDRM)の会長ご夫妻で、マグネシウムと糖尿病、高血圧、メタボリックシンドローム、うつ病などに関し、精力的に研究を進め多くの研究論文を発表されています。2006年日本で開催された第11回国際マグネシウムシンポジウム(SDRM)にも参加されました。MAG21研究会のホームページではこれまで種々の研究論文を紹介しております。

マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。

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