経口マグネシウム補充は糖尿病予備軍および低マグネシウム血症被験者のC反応性蛋白を低下: 臨床ランダム化二重盲検プラセボ対照試験

公開日:2020-01-24

2014年、メキシコ・Mexican Social Security Instituteの研究者らは、“経口マグネシウム補充は糖尿病予備軍および低マグネシウム血症被験者のC反応性蛋白を低下する: 臨床ランダム化二重盲検プラセボ対照試験”に関する報告をしたので、その論文の概要を以下に紹介します。

背景と目的
マグネシウム不足は急性期反応のトリガーと関連し、2型糖尿病と心血管疾患のリスクに寄与する可能性があることが示唆されています。この研究は糖尿病予備軍および低マグネシウム血症の明らかに健康な被験者において、経口マグネシウム補充が高感度C反応性蛋白(hsCRP)の血清値に変化を起させるかを判定するために実施しました。

方法
対象者は、18~65歳計62人の男性と非妊娠女性で新たに糖尿病予備軍(血糖値5.6 <7.0 mmol/L、或いは100-126 mg/dL未満および/または糖負荷後血糖値≥ 7.7 <11.1 mmol/L、或いは138以上200 mg/dL未満)および低マグネシウム血症(血清マグネシウム値 <0.74 mmol/L、或いは1.8 mg/dL未満)と診断され臨床二重盲検プラセボ対照試験に登録され、塩化マグネシウム(30 mLの5%塩化マグネシウム溶液、マグネシウム382 mg相当)またはプラセボ溶液0.1%NaHCO3いずれかをランダムに割り当て、3ヶ月間毎日1回摂取しました。

結果
基礎条件では、身体測定および生化学的数値は両グループで同様な分布をしていました。 フォローアップ後、塩化マグネシウムを摂取した参加者はコントロール群(プラセボ)と比較して有意に高い血清マグネシウム値(0.86 ± 0.08対0.69 ± 0.16 mmol/L, p = 0.002、或いは2.1 ± 0.2対1.7 ± 0.4 mg/dL)および優位に低い高感度C反応性蛋白(hsCRP)値(4.8 ± 15.2対17.1 ± 21.0 nmol/L, p = 0.01)を認めました。

結論
経口マグネシウム補充は、糖尿病予備軍と低マグネシウム血症において明らかに健康な被験者の高感度C反応性蛋白(hsCRP)値を低下させます。

参考資料:
Simental-Mendía LE, Rodríguez-Morán M, Guerrero-Romero F. Oral magnesium supplementation decreases C-reactive protein levels in subjects with prediabetes and hypomagnesemia: a clinical randomized double-blind placebo-controlled trial. Archives of Medical Research 45:325-330, 2014. doi: 10.1016/j.arcmed.2014.04.006. Epub 2014 May 9.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0188440914000757?via%3Dihub

【コメント】
このメキシコの研究者らは今回、3ヶ月間毎日1回30 mLの5%塩化マグネシウム補充(マグネシウム382 mg相当)により糖尿病予備軍および低マグネシウム血症の高感度C反応性蛋白(hsCRP)値を低下させることを臨床ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で示しました。

糖尿病及び糖尿病予備軍において低マグネシウム血症が多いと言われていますが、医師は一般的に血清マグネシウム濃度を測定していません。我国にも低マグネシウム血症者は相当いると思われるので、常日頃からの食事から十分なマグネシウムの摂取を心掛けて戴きたいものです。

このメキシコの研究者らDr. Guerrero-Romero、Dr. Rodríguez-Moránは2012年メキシコのメリダで開催された第13回国際マグネシウムシンポジウム(SDRM)の会長ご夫妻で、マグネシウムと糖尿病、高血圧、メタボリックシンドローム、うつ病などに関し、精力的に研究を進め多くの研究論文を発表されています。2006年日本で開催された第11回国際マグネシウムシンポジウム(SDRM)に参加されました。MAG21研究会のホームページでは、一部の研究論文を紹介して来ております。

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