糖尿病または糖尿病予備軍の成人に対する栄養療法: コンセンサスレポート

公開日:2019-12-11

2019年、米国のワシントン大学、オクラホマシティ インディアンクリニック、スタンフォード大学、アラバマ大学バーミンガム校、Birmingham Veterans Affairs Medical Center、ジョスリン糖尿病センター、Companion Medical, Inc.、ハーバード医科大学、Simple Concepts Consulting、Vida Health、米国糖尿病協会、ミシガン大学、St. Luke's Health Care System、デューク大学、Durham Veterans Affairs Medical Centerの研究者らは、“糖尿病または糖尿病予備軍の成人に対する栄養療法: コンセンサスレポート” と題した報告をしたので、その論文概要を紹介します。

概要
このコンセンサスレポートは、糖尿病または糖尿病予備軍の成人に対する栄養療法の個別化に関するエビデンスに基づくガイダンスを臨床専門家に提供することを目的としています。有力なエビデンスは、糖尿病の医学的管理への統合を含む、質の高い糖尿病治療の構成要素としての栄養療法の有効性と費用対効果を裏付けています。 したがって、ヘルスケアチームのすべてのメンバーが、栄養療法と重要な栄養メッセージの利点を知り、支持することが重要です。糖尿病および糖尿病予備軍の全成人対象者には、個別の治療目標内で、血糖目標の改善または維持、体重管理目標の達成、心血管リスク要因(血圧、脂質など)の改善に取り組む栄養カウンセリングが推奨されています。

食事療法指導に関する推奨では、1型または2型糖尿病の患者に於いて、診断時から生涯を通じ、治療目標を達成するために薬物の使用、身体活動などを含む個別化した医療栄養療法(medical nutrition therapy, MNT)を糖尿病治療に関する知識と経験を持っている管理栄養士から受けるのが望ましいです。

糖尿病および糖尿病のリスクがある人は、少なくとも一般に推奨される食物繊維の量を摂取することが推奨され、野菜、豆類(豆、エンドウ、レンズ豆)、果物、全粒穀物またはサプリメントなどで繊維摂取量を増やすことがヘモグロビンA1c (HbA1c)を少し下げるのに役立つかもしれません。

食パターンとしては、でんぷん質のない野菜を摂取し、砂糖や精製された穀物、加工食品の摂取を控え、加糖飲料ではなく水を飲むことが推奨されます。

参考文献:
Evert AB, Dennison M, Gardner CD, Garvey WT, Lau KHK, MacLeod J, Mitri J, Pereira RF, Rawlings K, Robinson S, Saslow L, Uelmen S, Urbanski PB, Yancy WS Jr. Nutrition Therapy for Adults with Diabetes or Prediabetes: A Consensus Report. Diabetes Care 42:731-754, 2019; doi: 10.2337/dci19-0014.
https://care.diabetesjournals.org/content/diacare/42/5/731.full.pdf

【コメント】
この研究者らは、既存の論文345報をレビューし、糖尿病または糖尿病予備軍の成人を対象とした栄養療法に関する推奨をまとめたもので意義があります。

日本でも、糖尿病または糖尿病予備軍に対する食事療法指導は、糖尿病治療に関する知識と経験を持っている管理栄養士が医療チームとして活躍されています。

当コンセンサスレポートの考察でマグネシウムについても少し言及されていますが、推奨されている食物の多くはマグネシウムが豊富に含まれています。

MAG21研究会のホームページでは、マグネシウムと糖尿病との関係について多くの記事を掲載していますので、閲覧してください。

マグネシウムの摂取不足は虚血性心疾患、高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病、歯周病、喘息、不安とパニック発作、うつ病、(慢性)疲労、片頭痛、骨粗鬆症、不眠症、こむら返り、便秘、PMS(月経前症候軍)、胆石症、尿路結石、大腸がん、すい臓がん、動脈硬化、全身性炎症性疾患、悪阻(つわり)、そして長期記憶、アルツハイマー病など様々な疾病・病態とも密接に関連していることが基礎的・疫学的・臨床的研究でも明らかにされています。今後マグネシウム摂取の重要性がさらに認知され、正しい食育が行われる事が切に望まれます。

マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。

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