食事性マグネシウム摂取量と脳卒中リスク: 前向き研究のメタ解析

公開日:2018-08-30

2012年、スウェーデンNational Institute of Environmental Medicine, Karolinska Institutetの研究者らが、“食事性マグネシウム摂取量と脳卒中リスク: 前向き研究のメタ解析” と題した研究報告をしたので、その論文概要を紹介します。

背景
脳卒中リスクと関連した食事性マグネシウム摂取量についての前向き研究は、矛盾した結果をもたらしています。

目的
マグネシウム摂取量と脳卒中リスクとの関連に関するエビデンスを得るために、用量反応メタ解析を行うことが目的です。

デザイン
関連する研究は、1966年1月から2011年9月までPubMedおよびEMBASE(世界最大級の医学関連文献データベース)を検索し、検索された論文の参考文献リストを見直すことにより特定しました。

マグネシウム摂取量3分類以上で脳卒中の95% 信頼区間(CI) を有する相対リスク(RRs)を報告した前向き研究を含めました。

個々の研究結果は、ランダム効果モデルを用いて結合しました。

結果
7件の前向き研究(1998~2011年の報告)で脳卒中6,477症例と参加者241,378人がメタ解析に含む条件を満たしました。研究内訳は4件米国、2件ヨーロッパ、1件台湾でした。研究対象者の1日当りの中央値マグネシウム摂取量の範囲は242 mg/d (米国男女)~471 mg/d (フィンランド男性)でした。

マグネシウム摂取量と脳卒中リスクとの間には、適度ですが統計的に有意な逆相関見られました。

マグネシウム摂取量が1日100 mg増加した場合、研究間で異質性がなく(P = 0.66, I(2) = 0%)全脳卒中リスクを8%減少(相対リスク:0.92; 95% CI: 0.88,0.97)させることが判りました。

マグネシウム摂取量は、脳内出血(相対リスク:0.96; 95% CI:0.84, 1.10)またはくも膜下出血(相対リスク: 1.01; 95% CI: 0.90, 1.14)とではなく虚血性脳卒中リスクと逆相関(相対リスク:0.91; 95% CI: 0.87, 0.96)していました。

注釈: 虚血性脳卒中リスクの相対リスク0.91とはリスクが9%低いという意味です。

結論
食事性マグネシウム摂取量は、脳卒中、特に虚血性脳卒中リスクと逆関連していました。

参考資料:
Larsson SC, Orsini N, Wolk A. Dietary magnesium intake and risk of stroke: a meta-analysis of prospective studies. Am J Clin Nutr 95:362-366, 2012. doi: 10.3945/ajcn.111.022376.
https://academic.oup.com/ajcn/article/95/2/362/4576752

【コメント】
この研究は、過去に報告された7件の前向き研究のメタ解析で、マグネシウム摂取量1日100 mgの増加は、全脳卒中リスクを8%減少、虚血性脳卒中リスクを9%減少する報告です。

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