神話か、現実か-経皮吸収マグネシウム?

公開日:2018-04-27

2017年、ドイツ・Akademie für Mikronährstoffmedizin、IPEV Institute for Prevention and Nutrition、St. Anna-Hospitalの研究者らの“神話か、現実か-経皮吸収マグネシウム?”についての総説を発表したので、その論文概要を紹介致します。

以下の総説において、経皮吸収マグネシウムの適用に関する現在の文献および根拠に基づくデータを評価し、経皮吸収マグネシウムの普及が科学的にサポートされていないことが示されています。

マグネシウムの重要性とマグネシウム補充(サプリメント)の有用性は、マグネシウム不足、例えば、心血管疾患および糖尿病において広範囲に報告されています。

マグネシウム摂取不足の治療のための経口マグネシウム補充の有効性について詳細に研究されています。

しかしながら、十分に証明、実証されている経口マグネシウム補充は、経皮吸収(例えば、マグネシウム含有スプレー、マグネシウムフレークおよびマグネシウム塩浴)によって近年疑問視されています。

インターネット上だけでなく専門誌と一般誌において、経口摂取に対して経皮吸収マグネシウムの有効性および優位性を主張する記事が増えています。

経口摂取と比較してマグネシウムの経皮吸収は、胃・腸管を介さないので、より良好な吸収と少ない副作用により効果的であると主張しています。

参考資料:
Gröber U, Werner T, Vormann J, Kisters K. Myth or Reality-Transdermal Magnesium? Nutrients 9:813, 2017 doi: 10.3390/nu9080813.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5579607/

【コメント】
本総説論文は2017年にNutrients誌に掲載されたものです。
入浴剤(エプソムソルト)としての経皮マグネシウムの効果は知られていますが、マグネシウム化合物による経皮路、経皮吸収率などの詳細は知られていません。今後の更なる研究により、経皮マグネシウムの詳細が判明することにより、経皮マグネシウムの普及が科学的に支持されることを期待します。

マグネシウムは健康にとってとても重要な必須・主要ミネラルです。にも拘わらず、長年にわたりほとんどの医師がこの不可欠なミネラルの血中マグネシウムを測定することもしませんし、様々な臨床症状も見過ごして来たのが現実です。

マグネシウムの摂取不足は虚血性心疾患、高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病、喘息、不安とパニック発作、うつ病、(慢性)疲労、片頭痛、骨粗鬆症、不眠症、こむら返り、PMS(月経前症候群)、胆石症、尿路結石、大腸がん、すい臓がん、動脈硬化、全身性炎症性疾患、悪阻、そして長期記憶、アルツハイマー病など様々な疾病・病態とも密接に関連しています。

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