平成28年国民のマグネシウム摂取量

公開日:2017-12-11

マグネシウムの日本人の食事摂取基準と推定摂取量の比較表を更新致しましたので、お知らせします。

更新内容は、平成28年「国民健康・栄養調査」の結果 2017(平成29)年9月21日厚生労働省健康局健康課栄養指導室栄養調査係 報道発表資料、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」2014(平成26)年3月28日「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課栄養指導室 報道発表資料を含みます。

厚生省(当時)が初めて国民栄養調査にマグネシウムを含めた2001(平成13)年から2016(平成28)年のデータを解析しました。まず、2015(平成27)年と2016(平成28)年のデータを比較した1日当りの推定摂取量は、男女ともに減少が認められました。次に、この16年間1日当りの推定摂取量は、男性でおよそ280mgから237mg、女性でおよそ250mgから209mgまで減少しました。更に、推奨量と比較し、推定摂取量は男性でおよそ64%、女性でおよそ72%しか摂れていません。

各推奨量に対する摂取量から見た不足量(推定)は1日当り男性で130~136mg、女性で80~81mgで、近年の上昇傾向が認められます。

(参照) 1. 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」平成16年11月22日厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室栄養指導係報道発表資料

日本人の食事摂取基準(2010年版)」平成21年5月29日厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室報道発表資料

日本人の食事摂取基準(2015年版)」平成26年3月28日「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課栄養指導室 報道発表資料

2. 厚生労働省 「国民健康・栄養調査

コメント:

今回、男女30~49歳のマグネシウムの日本人の食事摂取基準と推定摂取量の比較表を「平成28年「国民健康・栄養調査」の結果」、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」データに基づき更新しました。

なお、わが国の国民一人当たりのカルシウム摂取量は、厚生省(当時)が国民栄養の現状として戦後1946年来毎年調査報告し、厚生労働省が国民健康・栄養調査として2003年来毎年調査報告しています。

一方マグネシウム摂取量は、カルシウムの調査報告より55年後の2001年から厚生省が調査報告を開始しました。カルシウムと比較し、マグネシウムはそれほど研究されていない“オーファン栄養素(Orphan nutrient)”です。この為、マグネシウムに関する国の認知が相当遅れたため国民の認知が更に遅れています。

その様な背景もあり、マグネシウムの摂取量は推奨量に対し、男性でおよそ64%(1日当り130~136mgの不足)、女性でおよそ72%(1日当り80~81mgの不足)しか摂れていません。この様に女性より男性に摂取不足量が多いのは、糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病をはじめ様々な疾患が男性に多いのと関係がある可能性があります。

マグネシウムの摂取不足は、カルシウム対マグネシウム(Ca/Mg)の食事摂取比率に関係します。マグネシウムの摂取量が減少するとCa/Mgの食事摂取比率が上昇し今後、虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患死亡率が高く、また2型糖尿病、メタボリックシンドローム、骨粗鬆症、および他の炎症に関連した疾患の発症率に影響することが示唆されています。

2017.01.17 日本人のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)摂取量とCa/Mg摂取比率(1946~2015年) 更新

マグネシウムの摂取不足が虚血性心疾患、高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロ-ムなどの生活習慣病、喘息、不安とパニック発作、うつ病、(慢性)疲労、片頭痛、骨粗鬆症、不眠症、こむら返り、PMS(月経前症候群)、胆石症、尿路結石、大腸がん、すい臓がん、動脈硬化、全身性炎症性疾患そして悪阻など様々な疾病・病態とも密接に関連していることが基礎的・疫学的・臨床的研究でも明らかにされています。今後マグネシウム摂取の重要性がさらに認知され、正しい食育が行われる事が切に望まれます。

マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。

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