公開日:2012-11-15
飲料水中のカルシウムとマグネシウム及び女性の肺がん死リスク
2012年、台湾・Kaohsiung Medical University Hospitalの研究者らは、飲料水中のカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)及び肺がん死リスクに関する報告をしたので、その論文の概要を以下に紹介します。
目的:
女性の肺がんリスクと公的供給飲料水中のCaとMgレベルとの関連について症例対照研究を台湾で行いました。
方法:
台湾在住の全女性肺がん死3532例(2000~2008年)を他の原因での死亡3532例(対照群)と比較し、また、居住者の飲料水中のCaとMg濃度を調査しました。飲料水のCaとMg濃度に関するデータは、Taiwan Water Supply Corporation(TWSC)から得たものを用いました。なお、対象者は性別、出生年、死亡年をペアマッチしました。
結果:
調整オッズ比は、飲料水中のCaレベルと女性の肺がんとの関係には統計的に有意ではありませんでした。
しかし、飲料水中の高Mgレベルでの女性の肺がん死の調整オッズ比は、最も低い三分位値と比較し、それぞれ0.82(95% CI=0.72-0.93)、0.80(95% CI=0.69-0.93)でした。
結論:
飲料水中のMg濃度を上昇させることで女性の肺がんリスクが有意な低下がみられることが示唆されます。
参考文献:
Cheng MH, Chiu HF, Tsai SS, Chen CC, Yang CY. Calcium and magnesium in drinking-water and risk of death from lung cancer in women. Magnesium Research 25:112-119, 2012
http://www.jle.com/en/revues/bio_rech/mrh/e-docs...
【コメント】
この疫学研究では、飲料水中のカルシウムとマグネシウム濃度と女性の肺がんリスクとの関係を調査し、カルシウムの有意な影響はありませんが、マグネシウム濃度が高いほど肺がんリスクが有意に低下するとの報告であり、意義があります。
今後、発癌にかかわるマグネシウムの作用機序等の解明が期待されます。
マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。