尿路結石患者は2型糖尿病の発症率が高い

公開日:2012-04-13

尿路結石患者は2型糖尿病の発症率が高い: 5年間の追跡研究



2011年11月、台湾National Taiwan University医学部、Taipei Medical Universityの研究者らは、尿路結石患者は2型糖尿病の発症率が高いとする5年間の追跡研究に関する報告をしたので、その論文概要を以下に紹介します。



目的:



現在までに尿路結石と糖尿病リスクとの関係を検討した前向き追跡調査報告はありません。台湾に於ける地域住民調査で尿路結石症歴と2型糖尿病との関係を検討しました。



方法:



対象は、2001~2003年に新たに尿路結石と診断された成人23,569(男性14,832、女性8,737)例と、患者とマッチさせた対照70,707(男性44,496、女性26,211)例の比較集団です。5年間追跡して2型糖尿病の診断を確認しました。コックス比例ハザードモデルを使用し、尿路結石群と対照群の糖尿病リスクを算定しました。



結果:



全体の94,276例中で追跡期間中新規に2型糖尿病と診断された患者は尿路結石群が2,921例(12.39%),対照群が6,171例(8.73%)でした。



層別化Cox比例解析における月収、居住地域、都市化レベル、高血圧、脂質異常症、肥満を補正後の5年間の糖尿病診断リスクは、尿路結石群が対照群の1.32倍に比して有意に高く認められました(95% 信頼区間 1.26-1.39、P<0.001)。



結論:



尿路結石の診断を受けた患者は、5年間の追跡調査で2型糖尿病の発症リスクが高くなることが示唆されます。



参考文献:



Chung SD, Chen YK, Lin HC. Increased risk of diabetes in patients with urinary calculi: a 5-year followup study. Journal of Urology 186:1888-1893, 2011



http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21944094 



コメント



この前向き研究では、台湾に於ける地域住民調査で尿路結石と2型糖尿病との関係を検討し、2型糖尿病の発症リスクは尿路結石群が対照群の1.32倍と有意に高かったことに意義があると言えます。



尿路結石と2型糖尿病の共通点は両疾患とも低マグネシウム血症と関係しています。



なお、わが国では、酸化マグネシウム製剤(マグミット錠等)が唯一「尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防」としての適応が認められています。



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