公開日:2008-05-26
硫酸マグネシウム早産児脳性麻痺リスク低減
【2008年1月31日】の記事: 米国 Medical News Today よると
米国University of Alabama at Birmingham医学部産婦人科母体胎児医学 教授Dwight J Rouseらは、米国母体・胎児医学会(Society for Maternal-Fetal Medicine)にて早産児を出産する直前のハイリスク妊婦に硫酸マグネシウムを投与すると早産児の脳性麻痺のリスクが半減する研究結果を発表されました。
この研究は、National Institute of Child Health and Human Developmentよる母体・胎児ネットワークの研究支援により、全米20ヶ所の病院にて研究者らは、硫酸マグネシウムの影響として死産または幼児死亡率、2歳児前後の脳性麻痺率の程度を調べた。
妊娠24週~31週のハイリスク妊婦2241人が参加した試験(無作為二重盲検)では、分娩開始直前と思われる時期に硫酸マグネシウム溶液6gの静脈注20-30分を開始し、その後1時間2gの維持投与であった。
もし12時間以内に分娩に至らなかった場合には投与を中止し、分娩が再度開始されようとした時期に投与を再開した。
結果は、硫酸マグネシウムとプラセボ(偽薬)グループ間では、幼児死亡リスクに有意な差は無かった。しかし、マグネシウム投与群(1.9%)ではプラセボ群(3.5%)のおよそ半分で中程度か高程度の脳性麻痺が起こった。
この結果は以前、オーストラリアで3,000人以上の女性で行われた研究結果と非常に似ていた。
“早産児を出産するハイリスク女性の子供の脳性麻痺の予防に硫酸マグネシウムの使用は、強く考慮されるべきだ。”としている。
MAG21研究会のコメント:
このニュースによると、まだ学会発表の段階ですが、硫酸マグネシウム投与で脳性麻痺が半減するという非常に良い結果が得られているようです。今回の研究結果が論文として発表されてエビデンスが蓄積され、マグネシウムによる早産児の脳性麻痺の予防に大きな貢献になることが期待されます。日本でも硫酸マグネシウムは、既に医薬品として他の適応で使用されていますので、安全性が確認されれば適応拡大としての使用が可能ではないかと思われます。
Medical News Todayニュースサイト: http://www.medicalnewstoday.com/articles/95803.php