公開日:2008-05-09
糖尿病患者数は糖尿病予備軍含め1870万人=4年で15%増 厚労省
厚生労働省は2008年4月30日、「平成18年 国民健康・栄養調査結果の概要について」を発表しました。今回、生活習慣病有病者とメタボリックシンドロームの状況などについて発表しています。
生活習慣病では、糖尿病、高血圧と脂質異常症(従来の高脂血症)の状況が報告されました。
糖尿病実態調査では2006年(平成18年)、糖尿病を強く疑われる人と予備軍を含め1870万人と推定され、年代別の人口に占める割合では、70歳以上34.8%、60代28.9%、50代23%、40代13.5%、30代4.1%と若い世代ほど減少しています。男性が880万人、女性が990万人で、02年の前回調査より250万人(15・4%)の増加で、このうち女性が200万人と大半を占めたのが特徴です。
調査開始時から比較すると、1997年(平成9年)1370万人から2002年(平成14年)1620万人となり、およそ18%の250万人が増え、さらに、2002年から2006年(平成18年)1870万人となり、およそ15%の250万人が増えています。
高血圧症有病者の推計では、高血圧症有病者約3970万人、正常高値血圧者約 1520万人の合計約5490万人でした。
判定基準:
● 高血圧症有病者:収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上、または血圧を下げる薬(降圧薬)を服用している者。
● 正常高値血圧者:収縮期血圧130mmHg以上140mmHg未満で、かつ拡張期血圧90mmHg未満の者または、収縮期血圧が140mmHg未満で、かつ拡張期血圧が85mmHg以上90mmHg未満の者(ただし、薬を服用していない者)。
脂質異常症の推計では、HDLコレステロールと服薬状況のみを用いて、「脂質異常症が疑われる人」の判定を行った場合、約1410万人でした。
また、参考値として、食事の影響を受ける中性脂肪を用い、「動脈硬化疾患予防ガイドライン(2007年版)」の基準である中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールを用いた判定を行った場合、推計値は約4220万人でした。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
平成18年国民健康・栄養調査には、2004年(平成16年)~2006年(平成18年)のメタボリックシンドローム予備軍・該当者の状況(男女 40~74歳)が報告されました。
40~74歳でみると、強く疑われる者の比率は、男性24.4%、女性12.1%、予備軍と考えられる者の比率は、男性27.1%、女性8.2%であり、40~74歳男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドロームが強く疑われる者又は予備軍と考えられる者でした。
(注意)
メタボリックシンドロームの調査では、先に述べた8学会のメタボリックシンドローム診断基準を参考に、ウエストと血圧は学会基準と同じ、血中脂質と血糖値は厚生労働省独自の基準で推計されています。
(参照)
「平成18年 国民健康・栄養調査結果の概要について」平成20年4月30日厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室
「平成14年 糖尿病実態調査」平成15年8月6日厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室
「平成9年 糖尿病実態調査報告書について」平成11年4月21日厚生省保健医療局生活習慣病対策室
MAG21研究会コメント:
今回、厚生労働省が「平成18年 国民健康・栄養調査結果の概要について」を発表されました。生活習慣病有病者とメタボリックシンドロームの状況では、予備軍を含めた推計値が減少することなく増加の一途をたどっている結果でした。この原因には、高齢化社会が急速に進み、国民の間で広がっている運動不足や食習慣の乱れが大きな要因となっていると考えられます。
また、「栄養素等摂取、食品群別摂取の状況」も報告されています。今回、マグネシウムに関する1日当りの平均摂取量は、男性30~49歳で252~262 mg/日でした。前回2003年(平成15年)国民健康・栄養調査結果」では、男性30~49歳で 258~270 mg/日でした。この状況は、日本人の食事摂取基準(2005年版)男性30~49歳のマグネシウム推奨量370 mg/日と比較すると、1日当り基準値の1/3でおよそ120 mg不足し、更に摂取減少傾向となっています。
マグネシウムが生活習慣病、特に、2型糖尿病・メタボリックシンドロ-ムの発症と密接に関わっていることが認知され、そして食育にも取り入れられ日頃からの予防意識を持つことを切に望みます。