公開日:2008-01-28
日本高血圧学会 特定健診・保健指導に向けて提言
【2008年1月25日】配信の記事:Japan Medicine、提供:じほう によると
日本高血圧学会は、特定健診・保健指導に向けた学会方針を提言としてまとめ、学会のホームページ上に22日、掲載した。標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)を補完するのが目的で、プログラムで明確になっていなかった軽症高血圧の層別化や、家庭血圧の利用法についてまとめた。受診勧奨を行う症例と保健指導を行う症例の区分けを明確にし、特定健診・保健指導にかかわる医師にいっそうの理解を促す。これにより、特定健診・保健指導の円滑な実施を後押ししたい考えだ。
学会が17日付でまとめたのは「特定健診・特定保健指導実施に対する日本高血圧学会よりの提言」。昨年12月22日に理事会で承認された後、今月15日まで、学会会員からのパブリックコメントを募集し、学会員の意見を集約してまとめた。提言は、厚生労働省にも提出した。
軽症高血圧は他の危険因子 考慮して受診勧奨を
提言は、<1>診断基準について<2>血圧測定法<3>家庭血圧値の応用<4>受診勧奨についての4項目からなる。
特定健診における受診勧奨は、140/90mmHg以上を基準値としている。これに対し、「高血圧の基準値であり、保険診療を考慮しても矛盾はない」とした上で、「140-159/90-99mmHgの軽症高血圧の場合、糖尿病や腎障害の合併症がない場合には、直ちに薬物療法を勧めているわけではない」と説明。糖尿病や高脂血症など心血管疾患危険因子によるリスクを勘案し、受診勧奨するか判定することを求めた。
同学会は、高血圧治療ガイドライン2004(JSH2004)の中で、血圧値と、糖尿病や喫煙などの危険因子の個数を掛け合わせ、低・中・高の3段階にリスクを層別化している。このうち低リスクに当たる危険因子のない軽症高血圧患者については、3カ月間生活習慣の改善を行うことを求めた。その結果、血圧値が140/90mmHg未満でコントロールできない場合については、受診勧奨すると位置付けていた。
今回の提言では、実施すべき保健指導については、減塩・食事療法・運動療法などの生活習慣の改善について情報を提供するほか、少なくとも3カ月ごとに血圧を測定。家庭血圧が135/85mmHg以上であったケースに限り、医療機関の受診を勧めるとした。
一方、160/100mmHg以上の中等症高血圧以上の患者や、血圧値は140-159/90-99mmHgと軽症高血圧であっても、心血管疾患発症の危険因子を1個以上持つ中等・高リスクの患者は、直ちに受診勧奨すべきとした。
家庭血圧の活用を提言
血圧は、変動の幅が大きいことなどから、本来の血圧値を知るためにも、家庭血圧測定の有効性が指摘されている。
提言では、問診や血圧測定の際に「家庭血圧を測っているかどうかの確認とその際の血圧値を記録に残すことを提案したい」とした。
家庭血圧が125/80mmHg以上の症例は、健診時血圧が130/85mmHg未満であっても白衣高血圧と判断し、高血圧の基準を満たしているとみなす。
家庭血圧が135/85mmHg以上の症例では、健診時血圧にかかわらず高血圧治療を開始すべきとした。
そのほか、診断基準や血圧測定法について、標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)を支持することも明記した。
なお、詳しい内容は、日本高血圧学会のホームページに掲載されておりますので、ご興味のある方は訪問されることをお勧めいたします。
日本高血圧学会『特定健診・特定保健指導実施に対する日本高血圧学会よりの提言』サイト: http://www.jpnsh.org/teigen080117.html